2歳未満の乳幼児が初めての集団生活である保育園に入ると、季節に関係なく感染症を繰り返し、鼻汁・咳(せき)が長引きやすくなります。休園も多くなり、どうして?と悩む事が多くなります。しかし、不思議なことに2歳を過ぎる頃から頻度も少なくなり、休園するのはインフルエンザや、胃腸炎などの流行時期に限られるようになります。この経過を「保育園症候群」「保育園通い始め症候群」などと呼ぶ事があります。
なぜ、このような経過をたどりやすいのか? 私は保護者の方に以下のように説明しています。
「免疫の問題」。ウイルス感染の症状は初めて罹(かか)る時が一番キツイ、何度もかかるうちに軽症ですむようになる。赤ちゃんも慣れない環境にストレスで免疫力低下。
「ピンポン感染」。集団保育の場では一度治っても他の園児より別な細菌やウイルス感染をもらいやすい。
「体の発育・発達の問題」。(耳管・鼻腔(びくう)・側頭骨の発達等の問題、乳幼児にも食道―胃逆流現象がある事等)
「抗生剤への耐性菌の増加」。合併症のない鼻症状への「念のため抗生剤」で、いざという時用いる薬剤がなくなるによるという悪循環。
「では、2歳過ぎまで何もできることはないんでしょうか?」とよく質問されます。しかし、家庭でもできることはたくさんあります。
(1)鼻水を家庭でも吸引する、鼻をかむ練習を根気よく行う。鼻汁や咳は、解熱後も10〜12日ほど続くこともあるためです。
(2)家庭での禁煙。中耳炎、肺炎などの原因となるので家族の禁煙が必要。
(3)入園前の肺炎球菌ワクチン接種。肺炎や中耳炎の予防にもなります。ロタウイルスワクチンも胃腸炎に有効。
(4)気管支炎や中耳炎の合併症がない時。無理に鼻水を止めようとしない。自然に出てくる鼻汁や痰(たん)をとめると悪循環。漢方薬や痰を出すお薬など(抗生剤は必要に応じて)。
(5)ドロドロ鼻汁が7〜10日間以上の場合、副鼻腔炎・中耳炎・気管支炎等合併症がないか診察をうける。
(6)家庭でできる鼻洗浄の勧め、家庭でも食塩水And/or重曹などで吸引する(ウェブで検索「たかが鼻水されど鼻水・保育園症候群」)。
この時期はご両親の頑張り時となります。お母さんだけでなくお父さんも協力しましょう。そして利用できるサービスがあれば何でも使うことが大切です。決してお母さん一人で抱え込まないように!