骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という言葉を耳にした事は多いと思います。しかし誤解や思い違いは意外に多く、治療が必要な方の4人に3人は未治療です。今回、外来でよくある質問をQ&A形式でまとめてみました。
Q1 骨粗鬆症は大した病気ではない?
骨粗鬆症でもっとも骨折しやすいのは背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)で60代後半から激増します。背骨が折れると歩けなくなったり、入院する方もいます。また大腿(だいたい)骨のつけねの骨折(大腿骨頚部(けいぶ)骨折)は70代から増えますが、ほとんどの場合手術になります。最近では骨粗鬆症の方は、そうでない方より平均寿命が短いことが分かってきました。骨粗鬆症は寝たきりや寿命にも影響をおよぼす見過ごしてはいけない病気なのです。
Q2 診断はどのように?
いろいろな骨密度測定器があります。また知らない間に痛みもなく背骨の骨が縮む方もいるため背骨のレントゲンも必要です。検査値が予備軍程度でもリスクが高い人は早めに治療開始するなど総合的に判断します。最近ではこの先10年間の骨折の危険性を、簡単な計算機で計算できるようになりました。
Q3 薬は飲まず、運動や食事で自然に治したい。カルシウムだけではだめなの?
骨粗鬆症の治療に運動や食事療法はもちろん大切ですが、一番重要なのは薬です。薬が一番簡単で一番効果が高いことが分かっています。カルシウムだけでは治療としては十分ではありません。
Q4 治療してよくなる?
以前のカルシウム剤だけの治療では困難でしたが、ビタミンDに加え十数年前から骨の吸収を抑える薬(ビスフォスフォネート剤やサーム)の登場により、治療効果は格段に向上しました。最近では骨形成を促進する薬も開発され、重症の方に使われ始めています。残念なことは良くなったことが実感しにくいため、途中で薬をやめる方が多いことです。しかし治療を継続すれば骨折の発生率が半減することは、多くの研究から証明されています。これは血圧の薬で脳出血や心筋梗塞を防ぐ効果よりも治療効果が高く、非常に優秀な薬です。そんな薬を使わないなんて、もったいないと思いませんか?
医療の発達に伴い、長生きすることは難しいことではなくなりました。しかし介護のお世話にならず真に自立した生活を保つには、骨は重要です。私は沖縄のおじい、おばあたちが骨をもっと大事にし、いつまでも元気に長生きすることを願ってやみません。