沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2013年掲載分 > 脳卒中と生活習慣病

脳卒中と生活習慣病(2013年7月22日掲載)

金城竜也・たつや脳神経外科

食の改善と運動大事

脳卒中には脳梗塞(脳の血管が詰まる)、脳出血(脳の血管が破れて出血する)、くも膜下出血(脳動脈瘤(りゅう)が破裂する)があります。脳卒中は日本人の死因の第4位です。かつて男女とも長寿日本一であった沖縄県、2013年の長寿ランキングでは、女性も3位となり、1位の座を明け渡す結果となりました。ちなみに男性は30位、残念な結果です。沖縄県はもはや、長寿の県と胸を張って言えない状況になっています。

脳卒中を発症する原因としては高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病があり、過度の飲酒や喫煙も危険因子となっています。生活習慣病を放置していると、動脈硬化が進行し血管がもろくなります。さらに血管が閉塞(へいそく)すると脳梗塞を発症し、破綻すると脳出血を発症してしまいます。つまり、生活習慣病に注意する事が脳卒中を防ぐ最善の策ということになります。

生活習慣病にならないためには、日常の食生活(過度に塩分、脂肪分、糖分を摂取しない)に注意するとともに、適度な運動(30分以上の散歩など)も心がけることが重要です。現在生活習慣病に罹患(りかん)している方は、より食生活に注意をはらうとともに、必要に応じて治療薬の服用継続が大変重要となります。

脳卒中はある日突然発症します。幸い症状が軽く発症し、後遺症もほとんどなく経過する方もいますが、運動機能障害や感覚障害、言語機能を含めた高次脳機能障害などが強く出現し、日常生活もままならない状態になってしまう方も少なくありません。それまであたりまえにできていた事ができなくなり、命に関わる状態にもなり得ます。

脳卒中は偶然発症するものではなく、原因があって発症することがほとんどです。つまり、予防できるのです。健康診断(特定健診など)などを利用し、生活習慣病の有無を確認することはとても重要で、もし指摘を受けたのであれば積極的にその改善に取り組むことが大切です。

健康管理に対する考え方やその方法は個々で異なるとは思いますが、いつまでも健康であり続けることを目標に努力を続けることをお勧め致します。現在生活習慣病があっても放置している方がいらっしゃるとすれば、今からでも遅くはありません。生活習慣病発症年齢の若年化も現実問題としてあります。そのうち、では取り返しのつかない事になりかねません。いつ始めるか? 今でしょ! 男女ともに長寿日本一を取り戻しましょう!