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身近なPM2.5はタバコの煙(2013年6月17日掲載)

外間実裕・沖縄赤十字病院

屋内の全面禁煙必要

中国の大気汚染の問題からよく耳にするようになったPM2・5。これは石炭や自動車の排出ガスなどに含まれる直径が千分の2・5ミリ以下の小さな粒のことです。小さいので吸いこんでしまうと肺の奥深くに入りこんでしまい、いろいろな病気を引き起こします。日本でもPM2・5の濃度が高くなると外出をしないように注意されることになっており、外出する時にマスクするようにしている人の話がテレビでも放送されていました。

でももっと危険なPM2・5が私たちの身近にあることはまだまだ知られていないようです。そう、それがタバコの煙です。喫煙によりがんや慢性呼吸器疾患、動脈硬化などの疾患が引き起こされやすくなり、私たちの健康を脅かすことが分かっています。日本では喫煙自体は禁止されていないため喫煙により病気になることは自己責任と思われています。しかし、喫煙により室内のPM2・5は危険な濃度まで上がることが知られており、危険なタバコの煙は、吸っている本人だけでなく、まわりにいる人間を危険に巻き込みます。それが赤ちゃん、妊婦、お年寄り、呼吸器の病気を持っている人たちがその煙を吸うことを考えると自己責任などと言ってはいられません。

知らない人がたとえ屋外でタバコを吸っていても、偶然そこに通りかかってその煙の臭いをかぐと嫌な思いをします。もしそれが待合室であったり、食堂やレストランであったりするとすぐ出る訳にもいかず本当に迷惑です。つい最近まで喫煙に関して社会的に寛容な風潮がありましたが、これだけ喫煙の健康被害が明らかになっているのですから、屋内での全面禁煙をすぐ行う必要があります。

沖縄県医師会および地区の医師会でも禁煙パレードを行ったり、禁煙外来を行っているクリニックを希望者に紹介したりするなど禁煙に対する取り組みを積極的に行っています。多くの公的施設でも実際に全面禁煙が進んでいますが、さらなる対策として私たちのタバコに対する寛容な態度を改める必要があります。

仕事中にお酒を飲まずにいられない人はアルコール依存症ですが、仕事中や、赤ちゃんや老人などの弱い人の前でタバコを我慢できない人も病気ですよね。喫煙はニコチン依存症という立派な病気であることを知ってほしいと思います。ニコチン依存症は治る病気ですので、ぜひ医療機関に相談してください。

これからどんどん禁煙を推進していきましょう。沖縄をまた長寿の島とするためにも。