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成長曲線のすすめ(2013年5月20日掲載)

池間尚子・ちばなクリニック

健全性 標準線と比較

体重約3キロ、身長約50センチで生まれた赤ちゃんは1歳ごろには身長は約1・5倍、体重は約3倍になり、4歳ごろには身長は約2倍、体重は約5倍に成長します。成長は子どもの最も重要な特性であり、重要な健康のバロメーターです。

子どもの成長には、栄養状態、内分泌系(成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど)やその他の重要臓器の働き、遺伝的要因、体質的要因、精神社会的要因など多くの要因が影響を及ぼしますが、このうちの一つでも異常があると成長が障害される可能性があります。逆に、成長の異常から重大な病気が発見される場合もあります。

今回は、健全な成長かどうかの評価に大変有用な成長曲線についてお話しします。

成長曲線は、横軸に年齢、縦軸に身長や体重などの指標をとり、測定値をプロットして作成します。グラフには、多くの健康な子どもたちのデータをもとに作成された標準成長曲線または標準範囲が表記されていますので、個人の測定値をプロットすれば簡単に標準範囲と比較できます。標準範囲から外れている場合は、成長の異常の可能性がありますので注意が必要です。

さらに重要なのは成長を経時的にみることです。グラフに年齢ごとの測定値を書き入れて成長曲線を作成すれば、成長の経過を「見える化」することができます。子どもの成長にはパターンがあり、乳幼児期、小児期、思春期と時期により成長速度が異なります。

通常、思春期前までは成長曲線は標準線に沿いますので、成長曲線が標準線からずれる場合は成長速度の異常の可能性があります。身長の伸び率低下はホルモン異常など、上昇は思春期早発症などが疑われます。脳腫瘍ではそのどちらもおこり得ます。体重の伸び率低下は思春期やせ症や慢性疾患など、上昇は肥満が考えられます。もちろん、身長と体重のバランスも重要です。

しかし、思春期に入ると成長の評価は簡単ではありません。思春期に入るタイミングやその間の成長率には個人差が大きいからです。この時期には、身体所見や骨成熟度、ホルモン検査などを用いて成熟状況と照らし合わせて評価する必要があります。

6歳までの標準曲線は母子健康手帳に載っています。17歳までの標準曲線は小児科やインターネットなどで入手できます。お子さんの成長が気になるときは、母子手帳や保育園・幼稚園・学校などでの身体測定の結果、または作成された成長曲線をお持ちになり、かかりつけの小児科医にぜひご相談ください。