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風疹の話(2013年4月22日掲載)

大浜悦子・西平医院

男女とも予防接種を

今年、風疹の流行が連日のように新聞、テレビ等マスコミで報道されています。

風疹は、風疹ウイルスによる疾患であり、唾液のしぶきなどによる飛沫(ひまつ)感染により感染し、潜伏期は通常2〜3週間、発疹・発熱・リンパ節の腫れなどが主症状です。

比較的症状は軽い事が多いですが、妊娠初期に妊婦がかかると胎児に難聴や白内障・心臓病・発達障害などの重い障害を起こす先天性風疹症候群になることがあります。

それを予防するには、妊娠可能な女性のすべてが風疹に対する免疫をつけておく必要があります。

1964年に米国で2万人もの先天性風疹症候群の子供が生まれて大きな社会問題となった事をきっかけに、米国では69年から風疹ワクチンが初めて導入されました。

日本では64年(昭和39年)といえば、東京でオリンピックが開かれた年で、日本中がオリンピックに沸いた年でした。

米国で風疹が流行した64年に半年ほど遅れて米国統治下の沖縄で風疹が大流行し、この年の12月から翌年末までの1年間に沖縄で408人の先天性風疹症候群の子供が生まれました。何とこの数値は人口10万人あたり44人に相当し、赤ちゃん50人に1人と異常に高い数値であったということです。

その時生まれた先天性風疹症候群の子の大半が難聴児なので、その子たちが中学生になった78年、沖縄で専門の聾(ろう)学校が開校されました。それは高校を卒業するまでの6年間と期間の限られた聾学校でありました。

日本では77年から思春期女子に限定した風疹の予防接種がはじまり、95年から男女共に乳幼児に接種されることになりました。

風疹はワクチン接種で防げる病気です。風疹ワクチンの接種は、自分のためだけでなく、風疹の流行による同症候群の発生を防ぐことにもつながります。地域の流行を防ぐためには男性も女性も風疹ワクチンをうけて免疫をつけておきましょう。

沖縄の小児科医を中心にワクチンで予防できる病気はワクチンで予防しようという動きが広がっています。こういった沖縄の過去の歴史から予防の重要さを強く感じ全国へ発信していると思います。

皆さん、風疹に限らずワクチン接種で予防できる病気はたくさんあります。かかりつけの先生と相談して自分や家族、そして社会を守るため、きちんと予防接種を受けておきましょう。