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スポーツによる膝半月板損傷(2013年2月18日掲載)

丸山和典・浦添総合病院

沖縄には、全国屈指のプロスポーツチームや学生チームが存在しさまざまなスポーツが盛んです。中でもバスケットボール、サッカー、ハンドボールなどは人気の高いスポーツですが、これらは膝のけがが非常に多い競技としても知られています。半月板損傷は膝のけがの中で最も頻度の高いものの一つであり10代後半から20代前半によく起こります。

半月板は太ももの骨とすねの骨の間にある軟骨で、荷重が関節内の軟骨に集中しないようにしたり、膝関節を安定化させる機能をもっています。ジャンプの着地時や急な方向転換などで傷めることが多く、膝を曲げ伸ばしした時の痛みや引っかかりを感じたりします。ひどい場合には関節に水がたまったり、急に膝が動かせなくなり歩けないほどの痛みが出ることがあります。

このような症状があればスポーツ専門の整形外科に相談してください。医師の診察と磁気共鳴画像装置(MRI)撮影を行えば診断率は90〜95%と言われています。

治療には保存治療と手術治療があります。あまり活動的でない中高年者では、筋力トレーニングやストレッチなどのリハビリやヒアルロン酸の関節内注射といった保存治療から開始します。しかしながら、若年者では将来的な膝関節の変形の原因となりやすいといわれているため手術を勧めます。また、アスリートに生じた半月板損傷の場合は、わずかな障害がパフォーマンスの低下に直結するため手術となる場合が多いです。患者さんやご家族、チームの監督などと話し合って治療方針を決定しています。

手術は関節鏡という細いカメラで関節の中を覗きながら行うため、傷はあまり大きくなりません。傷んだ半月板を部分的に切除し滑らかにする半月板部分切除と、半月板の傷を糸で縫合する半月板縫合術がありますが、損傷の部位や損傷の仕方によって方法が違います。実際には、MRIの結果を基に手術中にカメラで観察してから方法を決めています。

縫合術後は治療した場所が再び断裂を起こすことがあるため、ゆっくりと体重をかけながら慎重にリハビリを行うことが必要です。スポーツの復帰は、通常4カ月〜半年程度を目標に段階的にリハビリを進めていきます。部分切除後は、手術直後から体重をかけてリハビリを開始し通常2カ月での競技復帰を目指しリハビリを進めます。

スポーツ整形外科医の診察のもと、専門的なリハビリ施設で集中的にリハビリをすればスポーツ復帰は可能ですのでぜひ相談してみてください。