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生活習慣病と急性心筋梗塞(2013年2月4日掲載)

潮平朝洋・沖縄赤十字病院

体の危険信号に注意を

これまで健康長寿県といわれてきた沖縄ですが、最近になってその様相が変わってきています。2005年度の国勢調査によると、平均寿命は女性では沖縄県が86・88歳で全国1位(全国平均85・75歳)であったのに対し、男性では78・64歳で全国25位(全国平均78・79歳)と全国平均を下回りました。その原因として、外食が増えたことやファストフードなどの食の欧米化により、メタボリック症候群や糖尿病の方が増えてきたことが大きいと考えられます。最近おなかが出てきていませんか。そのような方は要注意です!

厚生労働省における11年度の「人口動態統計の概況」によると、日本人の死因第1位は悪性新生物(がん)となっていましたが、それに次いで心疾患が第2位となっており、全国での心疾患における死亡総数は19万4926人で、死因別死亡数全体の15・6%となっていました。その心疾患の中でも急性心筋梗塞による死亡数が4万3265人となっており、心疾患全体の22・2%でした。

心筋梗塞を起こしうる危険因子として、高血圧・高コレステロール血症・肥満・糖尿病・喫煙などが主に挙げられます。これらの危険因子が動脈硬化を引き起こし、結果として心筋梗塞となります。これらの危険因子は生活習慣による要因が大きいと考えられます。このような危険因子がある場合には、まずは食事・運動療法や禁煙といった生活習慣の改善が必要です。それでも対処できない場合には薬物療法などの治療が必要になってきます。

急性心筋梗塞を起こす前には多くの方が歩行や運動時に胸の圧迫感や痛み(時々みぞおちの辺りが痛いと言う方もいます)や顎・喉の違和感、冷汗などといった危険信号を自覚症状として感じています。これを労作性狭心症といいます。心臓を取り巻く血管を冠動脈といいますが、冠動脈は心臓自体に酸素を供給しています。労作性狭心症ではその冠動脈が狭くなりかけている可能性があります。その部位が完全に詰まってしまうと、心筋梗塞となります。

先ほど述べたような危険信号をこれまでに自覚したことはありませんか。急性心筋梗塞で救急搬送されてきた患者さんのなかには、危険信号を自覚していながらも、これまで一度も病院を受診したことがないといった方もいます。私も含めてですが、好きこのんで病院を受診したいという方はほとんどいないと思います。しかし、このような症状がある場合には早めに医師へ相談してみましょう。