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誤嚥性肺炎、予防の心得(2013年1月21日掲載)

比嘉太・琉球大学医学部附属病院

習慣病治療や食事大切

高齢者では知らず知らずのうちに誤嚥(ごえん)を起こして、肺炎の原因となっていることがあります。とくに睡眠中に微量の誤嚥を起こしていることが報告されています。微量の誤嚥は軽症・無症状の脳梗塞との関連も報告されています。こうした誤嚥性肺炎を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。日常生活の中で取り組むことのできる心得を挙げてみたいと思います。

一、生活習慣病をしっかりと治療しましょう。

誤嚥性肺炎のリスクに脳梗塞などの脳血管障害が挙げられています。生活習慣病である高血圧症や糖尿病、高脂血症をしっかりとコントロールしましょう。また、喫煙は肺の防御力を弱めて肺炎のリスクを増大します。喫煙している方は禁煙にトライしましょう。禁煙開始に遅すぎるということはありません。

一、口の中のお手入れをしましょう。

誤嚥性肺炎では口の中にいる細菌が肺の中に入り込み、肺炎を起こします。普段からできるだけ口の中をきれいにケアしましょう。歯磨きや義歯の手入れをしっかり行いましょう。口腔(こうくう)ケアで嚥下(えんげ)反射そのものが改善すること、誤嚥性肺炎のリスクを低減させることが報告されています。

一、食事の時間を大切にしましょう。

食事の際にはおいしい食事を味わうことに集中してください。テレビを見ながら新聞を読みながらの食事は誤嚥のリスクになります。食べた物が胃から逆流しないように、食後2時間ほどは身体を起こした状態を維持しておくことが大事です。就寝する2時間以内には食事を取らないようにしましょう。

一、ワクチンを受けましょう。

インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは肺炎の予防効果があります。インフルエンザワクチンは冬季の流行前に毎年の接種が奨励されています。肺炎球菌ワクチンは1回の接種で5年間は効果が持続します。自治体によっては接種に補助がありますので、活用しましょう。

一、嚥下体操をしましょう。

年齢とともに低下してくる嚥下機能を、簡単な体操を行うことによって、食事に必要な口・舌・頬などの筋肉を刺激し、唾液の分泌を促し、飲み込みにくさやむせ返りの軽減が図れます。誤嚥性肺炎にかかったことのある方は、主治医の先生に誤嚥のリスクの程度と誤嚥を防ぐ方法について相談することをお勧めします。最近では嚥下機能を回復するためのリハビリテーションも行われています。