沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2013年掲載分 > 介護老人保健施設の役割

介護老人保健施設の役割(2013年1月7日掲載)

岡本昌子・介護老人保健施設シルバーピアしきな

医師常勤 サポート充実

老健(ろうけん)、特養(とくよう)、小規模多機能、高専賃、グループホーム、有料老人ホーム、宅老所など、ご高齢者が自宅を離れて生活される施設がさまざまあります。読者の皆さまはこれらの施設の違いがお分かりになりますか? 何となく、「ここは諸経費が高い、ここは大勢待っていてなかなか入所できないらしい…?」というような話を耳にされたりしたことがあると思います。実際のところ、御家族がこれらの施設や各種介護サービスを利用されている方、また医療に従事している専門職員でも、これらの言葉の意味や違いを詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。

「ろうけん=介護老人保健施設」は、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すための施設で、他施設との大きな違いは常勤の医師が日々、利用者の健康管理や投薬加療を行う、また作業療法士や理学療法士などによるリハビリテーションが受けられる点です。看護・介護のケアはもとより、栄養管理、レクリエーション等を医学的管理の下、利用者一人一人の状態やゴールに合わせ、快適に自分らしい日常生活を送れるようなケアとサービスが受けられます。入所できる方は介護保険法被保険者で、病状が安定している要介護度1〜5でリハビリテーションを必要とされる方です。

「ろうけん」に入所されるのは、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)治療後や大腿(だいたい)骨骨折手術後、退院して自宅へ帰る前に、もう少しリハビリを希望される方が多いですが、自宅や、他の施設から移られる方もいらっしゃいます。

入所後、約3カ月ごとに入所継続検討会を行い、ご本人・家族に全身状態やリハビリの進み具合を説明し、在宅復帰のサポートを行います。実際にスタッフがご自宅へ伺い、退所後の生活指導を行う事もあります。

「ショートステイ」と言って、自宅での介護者が不在となる数日間を「ろうけん」で過ごす事もできます。老健施設に併設している「デイケア(通所リハビリ)」を利用されている方が、週末はショートステイを利用されたりするパターンもあります。

現在沖縄県には約40の老健施設があり、それぞれの施設では「支援相談員」が窓口となって、いろいろな介護に関する相談や施設見学に応じています。「夏祭り」や「敬老会」など、地域の方々を招待する催しもあります。ぜひ一度、お近くの老健へ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。