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「心のクリニック」ってどんな所?(2012年12月3日掲載)

伊室 伸哉・バークレーいむろ心のクリニック

解決策の糸口を提案

皆さんは「心のクリニック」(精神科・心療内科診療所)という所はご存じでしょうか? 恐らく最近よく聞く「うつ病」や近年名称が変わった「統合失調症」などの精神障害の治療をしている所?とか、何か不気味で受診したら何をされるかわからない怖い所?などあまりよくないイメージではないでしょうか?

確かに医療機関は「病気」になった人が来るという意味で他の科も含め一般的に「できれば行きたくない所」の一つだと思います。実際自分も採血をされる時に気分が悪くなったりするので行きたくない場所の上位に入ります。

また皆さんが病気になってもだんだんと症状が悪くなって「もうダメだ!」となった時点での受診という方が多いのではないでしょうか?

心の病気の特徴として「症状」が自覚しにくい、ということがあります。しかしほかにも糖尿病や高血圧など、かなり悪くなるまで自覚症状の出ない病気があります。それでも多くの方が治療を受けるのは「数値」で良い悪いが表せられることと、これらの病気は「悪くなると(放置しておくと)ヤバい!」と本人や周りの人に病気の知識と理解があるからだと思います。

来年度から都道府県が5年ごとに策定する重点的医療計画の中に新たに精神疾患が追加されました。しかし今までの4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に比べて社会的理解が不十分であるとも感じます。知識や理解の不足はさらに「心の病気」に対する偏見(スティグマとも呼ばれる)も大きくします。

実際受診に来られる方でも、内科や耳鼻科など他の科へ受診する時より抵抗がある印象です。また「こんな相談してもいいのか分かりませんが?」とか「家族(友人・上司)が行け行け言うので来てみました」など迷いなく来られる方は少ないです。また心の病気の症状や経過は同じ病名でも個々に全く異なります。それぞれ生活環境や社会的役割、性別や性格が異なるように、心の病気もそれぞれ違う形で出るのは当然ではありますが、分かりにくい原因の一つにもなっていると思います。

自分たちは常に変化する社会と同様それぞれの人の生活背景全体をみながら、最善策を提案しています。もし心の病気かどうか? 行きたいけれどどうしたらよいか? 迷っている方がおられたらぜひ、心の病気を扱う私たちの医療機関や公的機関も窓口がありますので相談に行ってみてください。きっと解決の糸口が見つかると思います。