沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2012年掲載分 > 咳ぜんそくに用心

咳ぜんそくに用心(2012年10月29日掲載)

久手堅 憲史・くばがわ内科クリニック

長引く咳は専門科へ

かぜは治ったはずなのに、咳(せき)はちっとも治まらない、といった状態が数週間続いたら、それは咳喘息(ぜんそく)かもしれません。咳喘息にかかると、1カ月以上、空咳(からぜき)が続きます。夜中から明け方に激しい咳が出たり、寒暖の差や喫煙で咳が出やすくなるのが特徴です。

のどにイガイガ感を伴うこともあり、長く話をした際、のどが渇いたり声がかれたりもします。咳の発作が激しい揚合は、胸の痛みを感じたり、嘔吐(おうと)、失神したりすることさえもあります。

咳喘息の診断は、ゼイゼイ、ヒューヒューといった、喘鳴を伴わない咳が3週間以上続くこと、気管支拡張薬が有効なことの二つに当てはまることで診断されます。治療は吸入ステロイド薬が中心になります。

日常生活の注意がいくつかあります。かぜやインフルエンザにかかると、気道の粘膜が炎症を起こします。その結果、わずかな刺激にも反応し、気道が収縮して咳喘息が起こりやすくなります。かぜやインフルエンザに注意しましょう。

たばこの煙は気管支を刺激し、咳の回数を増やします。ご本人がたばこを吸わなくとも、近くでたばこを吸っている人がいる場合は、咳喘息を悪化させる原因になります。また、お酒を飲むと、体の中にアセトアルデヒドという物質ができ、気道を収縮させて咳を起こしやすくします。飲みすぎには十分に注意してください。

咳喘息の患者さんにとって、アレルギーを引き起こす原因となるハウスダスト、カビ、ペットの毛、花粉などのアレルギー反応を引き起こす物質は排除が必要です。週に数回、布団や枕などの寝具を干したり、室内をこまめに掃除しましょう。

急激な気温の変化は咳喘息の発作を招きます。春や秋など季節の変わり目には常に気温の変化に注意を払い、外に出るときには服装による温度調節を心掛けましょう。ストレスも、気道を過敏にさせる要因となります。日ごろからストレスの原因となる過労を避け、睡眠や休養を十分にとることが大切です。水泳など適度な運動を行い、抵抗力をつけることも咳喘息の予防につながります。

咳喘息は自然に治ることもありますが、約30%が喘息に移行するといわれています。喘息への移行を食い止めるためにも早い段階で有効な薬を使う必要があります。

咳が続いているのはかぜが長引いているせいだろうと、かぜ薬や抗生物質、咳止めを用いても、咳喘息にはほとんど効果がありません。長引く咳の場合は咳喘息を疑い、呼吸器内科を受診して適切な治療を受けられることをお勧めします。