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免疫について(2012年10月22日掲載)

大湾 勤子・国立病院機構沖縄病院

アレルギー原因 注意を

免疫という言葉を聞いたことがありますか? 免疫とは「疫(疾患)」を「免れる」という意味の言葉です。体内に侵入しようとする細菌やウイルスなどの病原体に対して、からだは侵入を防ごうと反応をし、さらに侵入した病原体を取り除くよう働きます。そのしくみを感染防御免疫といいます。

外界と接する皮膚や、眼や鼻やのどの粘膜は、病原体などの異物の侵入を防ぐバリアーとして働いています。これらの表面には粘液や涙などの分泌物が出て、異物や病原体が体内に入らないように洗い流し定着を防いでいます。たとえば鼻や口から病原体が吸い込まれた場合、くしゃみや咳(せき)をし、さらに鼻水や痰(たん)を出して排除しようと反応します。

しかし、いったんバリアーをこえて病原体が体内に侵入した場合、近くの血管や粘膜に存在する白血球やマクロファージという免疫を担当する細胞が病原体を察知し、信号を送って別の免疫担当細胞を呼び寄せたり、細胞が病原体を分解する能力を発揮しやすいように体温を上昇させる発熱物質などを産生します。このようにして病原体を攻撃できる態勢を整えます。ですから咳や痰が出たり熱が出ることは、正常なからだの感染防御反応といえます。しかしこれらの症状が長引くと体力を消耗してしまうために、咳止めや解熱剤や抗菌薬を症状に応じて使用して治療するのです。

免疫は、異物(花粉やたばこの煙など)の侵入に対しても反応します。しかし免疫反応が過剰になった場合にはからだに不利に働くこともあり、これをアレルギーと言います。花粉症が一例です。アレルギーの出かたはさまざまで、異物の刺激に対してすぐに反応が出る場合と一定時間が経過して反応する場合などがあります。アレルギー反応の中で、アナフィラキシーといって、急に息が苦しくなったり、意識がなくなってショックになったりする強い反応には特に注意が必要です。これらの原因物質としてハチの毒や、食べ物(ソバ、ピーナツなど)、抗菌薬や解熱鎮痛薬などがあります。アレルギーを経験したことがある場合は、原因物質を書きとめて医療機関でお伝えください。同時に原因を避けるよう気をつけ、周囲の人にも知らせておくことが大事です。

免疫には、外からの物質に対する反応以外に、自分のからだの細胞を異物として認識して反応を起こす自己免疫や、体内でできたがん細胞などを排除する抗腫瘍(しゅよう)免疫など自己由来の物質に対する反応もあり、正常に働くと有利である一方、異常な反応によって病気を引き起こすこともあります。