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マンモ検診のカテゴリー(2012年9月17日掲載)

座波 久光・中頭病院・ちばなクリニック

乳がん病期分類とは別

生活習慣の欧米化が進み、日本人の乳がん患者数は非常に増え、いまや20人に1人が発症するといわれています。しかも、日本人女性の乳がんは羅患率の増加だけではなく、死亡数も増加の一途をたどっています。

一方、乳がん先進国のアメリカやイギリスなどの欧米では、マンモグラフィー検診の普及で早期発見が著しく増え、乳がん死亡率は減少しています。残念ながら私たち沖縄県の乳がん検診受診率もいまだ30%未満で、なかなか早期発見が進まないのが現状です。

乳がんは比較的性質の良いがんで、優れた検査法や有効な治療手段も多いため、早期発見して適切な治療を受ければ、ほぼ完全に治すことができます。ぜひ、40歳以上の女性はマンモグラフィー検診を受けましょう。

ところで、マンモグラフィー検診を受けた結果、通知されるカテゴリー分類をご存じでしょうか? がん検診の種類によってはクラス分類やグループ分類とかいろいろな用語が使用されており、とかく医療専門用語や数字は分かりにくいものです。

マンモグラフィー検診で判定がカテゴリー3で2次検診を受けるよう通知をうけ、3期の乳がんだと勘違いして夜も眠れずに過ごした方もいらっしゃるのではないでしょうか? カテゴリー分類はマンモグラフィーをみてどれぐらい乳がんが疑わしいかという目安ですので、乳がんの病期分類と混同してあまりショックを受けないようにしてください。

ちなみに、

カテゴリー1 異常なし。

カテゴリー2 良性病変のみ。

カテゴリー3 乳がんを否定できず。しかし、乳がんである確率は約10%程度です。

カテゴリー4 乳がんの疑い。乳がんの確率は約40%。

カテゴリー5 マンモグラフィー上は乳がん。乳がんの確率は約90%。

というふうにマンモグラフィーの所見を5段階で判定します。2次検診での精密検査が必要な方は、触診で異常のある方か、マンモグラフィーでカテゴリー3、4、もしくは5と判定された方です。ただし、マンモグラフィーも完全な検査ではないため、カテゴリー1、もしくは2と判定されても、しこりを自覚する場合には必ず乳腺専門施設を受診してください。

日本人の乳がんは今後も増加の一途をたどることが確実視されています。肥満との関係も取りざたされており、私たち沖縄県はさらなる注意が必要です。マンモグラフィー検診率を向上させ、乳がん撲滅にぜひご協力ください。