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緑内障ってどんな病気?(2012年9月3日掲載)

上原 勝・うえはら眼科

失明恐れも9割未治療

眼球は小さなゴムボールのような物で、このボールの内圧(膨らむ力)を眼圧と呼び、眼圧が高いと眼球は硬く逆に低いと軟らかくなります。目の表面は角膜と呼ばれる薄い透明な膜でできており、その内側には房水と呼ばれる液体があります。房水はちょうどゴムボールを膨らませる空気のような働きがあり、目の外から内に入って角膜と虹彩の間の隅角というクサビ状のすき間から線維柱帯と呼ばれる網目状の部分を通り、シュレム管という排水ロへと流れ、外に出て行くという一定の流れが有ります。この房水が外に流れ出る過程に障害が起り、房水が眼球にたまり過ぎると眼圧が上昇し視神経が圧迫され視野が欠けたり狭くなったり、ついには失明に至る病気が緑内障です。

緑内障にはいろいろタイプが有り、治療も異なりますが、大きく分けて2種類有ります。

(1)「閉塞(へいそく)隅角緑内障」隅角で房水の流れが悪くなり、眼圧の高度の上昇が急激に起こるため、強い視力障害、充血、眼痛、頭痛などの急性緑内障発作と呼ばれる状態を起こす事が有るタイプで、治療が遅れると早々に失明に至る事も有ります(2)「開放隅角緑内障」隅角より後の線維柱帯やシュレム管で流れが悪く、眼圧上昇は緩やかで慢性の経過を取り、自覚症状が出にくい緑内障です。緑内障の大多数をしめるタイプで、一般に緑内障と言うとこのタイプをさします。

閉塞隅角緑内障の場合、急激な眼圧上昇(急性緑内障発作)をレーザー手術(レーザー虹彩切開術)によって予防する事も可能ですが、完治するわけではなく、その後も点眼による眼圧下降の治療が必要になる事もあります。また、角膜の状態によっては、白内障手術を施行することにより眼圧降下をはかる場合もあります。

開放隅角緑内障の場合、点眼による眼圧下降治療が主体ですが、自覚症状が無いため発見が遅れたりまた治療をおろそかにしたり中断するケースもまれではありません。点眼を数種類併用しても十分な効果の無い場合、レーザー手術や観血的手術を施行することも有りますが、完治するわけではなくやはり治療を維持しなくてはなりません。最近は点眼回数が少なくても、眼圧下降の優れた薬や二つの薬剤を混合し、入れ忘れを防ぐ工夫を行った点眼もあります。

また、最近近視治療で「レーシック」を受ける方が増えましたが、レーシック施行後は実際の眼圧(内圧)より、眼圧測定値が低く検出される場合が有り注意が必要です。40歳以上の日本人成人において約5〜7%が緑内障でその90%が未治療であるとの調査報告もあります。早期発見、早期治療がなによりも重要なのです。