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外耳炎(2012年8月6日掲載)

宮城 裕二・みさと耳鼻科

頻回の耳掃除は危険

耳が「かゆい〜!」と綿棒で頻回に耳を触れているあなた! 要注意です。暑く長い沖縄の夏は、涼しさを求め海水浴、プールと水に親しむ機会が増えます。その時耳に入った水をどのように取っていますか? なかなか取れずに、綿棒やティシュで耳をこすっている内に痛くなったことがありませんか。汗をシャワーでさっぱりと流す時、ついでに綿棒を使用して耳の水気を取り去りスッキリ。毎回シャワー後、耳を触る癖がつき、耳が痛くなることはなかったでしょうか? このように頻回に耳を触ることで耳の皮膚を傷つけ、痒(かゆ)みから、だんだんと痛くなる外耳道の病気「外耳炎」を引き起こしてしまうのです。

外耳道は耳の入り口から鼓膜までをいいます。耳の入り口から外側3分の1が軟骨部外耳道、それより内側3分の2を骨部外耳道といいます。軟骨部外耳道には殺菌作用のある粘液を出す分泌腺などがあり、その作用でバイ菌やカビなどの外敵を消滅させ、耳を守っているのです。触り過ぎると外耳道皮膚を傷つけてしまい、もともとあった皮膚の殺菌作用が弱くなり、抵抗力も落ちてきます。そのため傷からバイ菌が簡単に侵入し、どんどん化膿(かのう)が進むため膿(うみ)がたまり、大人でも泣くほど痛みを生じる重症の外耳炎になってしまいます。

もう一つ外耳炎の原因になる耳垢(あか)についてお話します。耳垢は軟骨部外耳道にたまります。分泌液と古くなりはがれた外耳道皮膚が混じって、耳垢になります。耳垢は単なる排せつ物ではなく、外からのバイ菌等の感染に対する防御と、虫が耳に入るのを防ぐ役割を担っています。

その理由で耳垢は多少残しても良いのです。耳垢を取るための耳掃除は気持ち良いので、ついつい耳かきや綿棒で掃除をやりすぎて皮膚を傷つけ、外耳炎になってしまいます。

そこで耳掃除のコツ! 子供だけではさせないでください。できるだけお父さんお母さんがやってください。耳を後ろに引っ張ると耳の入り口が見えます。そこに耳垢が見えたら細い綿棒で軽く取り除きます。それより耳の奥には耳垢はたまりませんので、耳垢が見えないなら掃除の必要はありません。月に1回の耳掃除で十分です。

耳かきは皮膚を傷つけないよう優しくお使いください。耳垢が耳の奥にあるため取りにくい時、耳のしつこい痒みがある時は無理に触れず、近くの耳鼻咽喉(いんこう)科受診をお勧めします。