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夏にもインフルエンザ(2012年6月19日掲載)

藤田 次郎・琉球大学医学部付属病院

子どもに流行

インフルエンザは冬季に流行する感染症と考えられています。ただし、ここ沖縄県においては、夏にもインフルエンザがあることを知っておく必要があります。実際に5月、6月にインフルエンザが流行して学級閉鎖になることすらあります。

近年、インフルエンザの迅速診断キットが普及し、かつその感度が高くなったことからインフルエンザの診断がきわめて容易になりました。またA型インフルエンザなのか、B型インフルエンザなのかも明確にすることができるようになりました。

私たちは沖縄県、および那覇市医師会のご協力を得、2007年からインフルエンザウイルス感染症の流行調査を継続してきました。その結果、興味ある事実が明らかになってきました(グラフ参照)。実は沖縄県において、冬季に流行するのは主としてA型インフルエンザですが、夏に流行するのはB型インフルエンザが主体であるということです。さらにB型インフルエンザの実態を詳細に調べてみると、主として学童に流行が起こっていることが明らかになりました。またA型インフルエンザにおいては、湿度と気温が低くなると流行するのですが、B型インフルエンザの流行は、湿度、または気温の変化との関連性が乏しいこともわかってきました。

繰り返しますが、沖縄県においては、夏にもインフルエンザが流行することに注意しましょう。

さてインフルエンザの感染対策について、述べたいと思います。全ての病気にあてはまりますが、まずは予防が肝心です。インフルエンザウイルス感染症を予防するため、または罹患(りかん)しても重症化しないことを目的に、年1回、秋にインフルエンザの予防接種を受けましょう。さらに65歳以上の高齢者、基礎疾患のある方においては、インフルエンザウイルス感染症に引き続き、肺炎を合併することが多いので、5年に1回、肺炎球菌ワクチンを接種しておくことが重要です。

近年、沖縄県の多くの自治体において、肺炎球菌ワクチンの公費助成が実施されていますので、これを活用するとよいでしょう。