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ペインクリニック外来(2012年4月17日掲載)

笠間 晁彦・同仁病院

神経ブロックで痛み除去

皆さん痛みで苦しんでいませんか? 頭痛・腹痛・歯痛・胸痛などさまざまありますが、痛みを表す言葉には心痛・苦痛・沈痛・痛苦・痛嘆など実体の解らないものもあります。いずれもとてもつらい事を表していますが、これは痛みが不安・恐怖などのマイナス感情を誘発するからにほかなりません。

もし痛みが長引きますと、この感情面の要素が強くなり痛みを強く感じたり、一般的な鎮痛法だけではコントロールできなくなる事も多々あります。

また、痛みの感じ方は人によってまちまちで、これがさらに治療を難しくしています。早期に治療を開始する事が大事なゆえんであります。

では痛みにはどういうものがあるでしょうか。一般的には慢性疼痛(とうつう)と急性疼痛に分けられています。急性疼痛とはけがや手術、寝違い、椎間板(ついかんばん)ヘルニアなど急激に(時には数日かけて)現れた痛みで、早い時期に治療が(鎮痛、原因除去など)開始されれば多くは解決されるものを指します。しかし、治療がうまくいかず痛みが長引くと慢性疼痛に移行する事もあります。

一方慢性疼痛とは、痛みの原因が治癒した後も残る痛み(皮膚の症状が消えた後まで残る帯状疱疹(ほうしん)後の痛みなど)や、原因がはっきりしない長期にわたる痛み(線維筋痛症など)、治療が不可能で長期にわたる痛みなどがあります。

では長期とはどれくらいを指すのでしょうか? 大体は半年以上としていますが、治療上は1カ月以上は要注意、3カ月以上はほぼ慢性と考えた方が良いように思います。いかに慢性化させないかが重要なポイントです。

それにはどのような治療法があるでしょうか。まずは原因治療ですが、治癒までに時間がかかったりその間の疼痛が強く原疾患よりも痛みに悩まされる事があります。このような場合は慢性疼痛または頑固な疼痛に移行する可能性が高くなります。

鎮痛法としては主に鎮痛薬(経口、座薬、注射など)を使いますが、十分な効果が得られない事もあります。このような場合は神経ブロックと言う方法があります。これは神経の一部を薬でまひさせる方法でほぼ確実に痛みを取る事ができます。

ペインクリニック外来ではこのような神経ブロックも併用し、いろいろな痛みに対応しています。

このような特殊な治療法を必要とする主な疾患には帯状疱疹痛(後神経痛)、頭痛(片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛、側頭動脈炎など)、三叉(さんさ)神経痛(顔面)、顎(がく)関節症、糖尿病、脊椎起因の痛み、がん性疼痛など多々あります。

痛みでお困りの方は一度相談してみてはいかがでしょうか。