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野菜を食べよう(2012年3月13日掲載)

石川 清和・今帰仁診療所

体調よくする効果期待

外来で患者さんに決まった声かけがある。「野菜を食べていますか?」。最近は患者さんも心得たもので「野菜ばっかり食べているよ〜」「もうヒージャーになってしまうさ〜」と返してくる。

野菜にはさまざまな効果がある。いろいろな研究が、野菜を食べることががんの予防、血圧を下げ、血糖値を改善するなどさまざまな効果があると報告している。野菜には食物繊維とビタミン、ミネラル、ファイトケミカルが含まれている。

食物繊維は便通を良くし、腸内細菌群を良い状態に維持するのに効果がある。ビタミン・ミネラルは体の中のさまざまな代謝を維持するのに必要であり、ビタミン・ミネラルが不足すると、私たちの持っている能力を十分に発揮できないばかりでなく、生命の危機すら引き起こす。

現代の野菜のビタミン・ミネラルの量は50年前の野菜に比し低下している。その要因として野菜の品種改良(甘さ、口当たりの良さを追求)、化学肥料の過剰投与による畑の地力低下等があげられる。

また野菜を冷蔵庫に保存することでも次第にビタミン類は減少していく。ファイトケミカルは植物の成長・身を守るのに必要で、植物同士の交流を行っている物質である。ファイトケミカルが人間の免疫力を刺激し、人の持つ免疫力を高めることが分かってきた。しかし、ファイトケミカルは人間にとって必ずしも有益であるだけでなく、野菜を摂る量や摂取の仕方によっては刺激・有害になることもある。

野菜の1日の必要摂取量は片手5杯分である。朝昼晩の3食かけて野菜を摂ること、煮物、あえ物、汁、チャンプルー、蒸し野菜、生野菜とさまざまな調理方法で摂り、油やマヨネーズなどの脂質の摂取を減らす工夫も必要である。野菜は旬の野菜、沖縄野菜がお勧めである。野菜の生育には適温があり、健康な野菜が育つ季節がある。(農薬も減らすことができる!)沖縄野菜は沖縄の強い紫外線を受けて育つため抗酸化物をより多く含んでいる。サクナ、ニガナ、ヨモギ等の苦みの強い野菜は抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含んでいる。

沖縄の畑には毎年台風の強風で潮風が運んできた海水のミネラルが散布される。生命の源である海水のミネラルが補給される畑でとれる野菜はより健康的で、多くのミネラルを含んでいる。最近では畑の野菜にわざわざ海水を散布しおいしい野菜を作る農法が日本中の農家に広まっている。

沖縄野菜は沖縄の自然がはぐくんだ宝物であり、私たちをより健康にしてくれるのである。