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乳がん検診(2011年12月13日掲載)

比嘉 国基・豊見城中央病院

複数検査 併用も検討を

「20人に1人が乳がんになる時代」、有名芸能人の乳がん告白やTV、雑誌等でも乳がんの話題をよく見るようになり、多くの女性が乳がんに関心を持つきっかけにもなっています。乳がんが増えている現代において関心を持つことはとても大切な事です。

私は年に数回、乳がん検診啓蒙(けいもう)を兼ねて市民向けの無料講演会を行っていますが、参加者は検査方法や手術方法の話に熱心に耳を傾け、乳がんへの関心の高さを感じます。

私は講演会の時にマンモグラフィー検診を受けたことがある方を挙手で確認するようにしていますが、平均して60〜70%と高い受診率です。ところが2009年度の厚生労働省の統計を見ますと沖縄県のマンモグラフィー受診率は18・4%(全国平均16・3%)と低率が現状なのです。マンモグラフィー受診率は欧米では70%、韓国もすでに50%に達しています。乳がんが増えているのに、検診は増えていない現実をまず知ってほしいと思います。

検診に関して、もう一つ知ってほしいことがあります。

検診で乳がん死を減らせるという科学的根拠があるのは、現時点ではマンモグラフィーしかありません。

それを聞けば「マンモグラフィーだけ受ければ良い」と思われがちですが実は、日本人は乳腺密度が高くマンモグラフィーだけでは腫瘤(しこり)を発見しにくいことが少なくありません。

マンモグラフィーでは脂肪は黒く、乳腺は白く写ります。腫瘤も白く写るため分かりづらいことがあるのです。そのときは他の検査(超音波など)を併用し検診の精度を高める必要があります。

自分の乳房がマンモグラフィーのみの検診で問題ないか、知っている方はかなり少ないことでしょう。もし医師と話す機会があれば、マンモグラフィーだけで良いのか。他の検査(超音波など)を併用した方が良いのか。ぜひ確認してみてください。マンモグラフィーだけでは不十分であれば自己負担になりますが、超音波などの併用を検討することをお勧めします。

乳がんは早期発見すれば治る可能性が高い病気です。

人ごとだと思っている女性も多いのが現実ですが、よく考えてみてください。20人に1人でも、その1人は家族にとって、友人や恋人にとって唯一の存在なのです。

乳がんが増えている、でも検診は増えない結果として年間1万人を超える人が乳がんで亡くなっているのです。そして年々その数は増えています。

1人でも多くの女性が乳がんで命を落とさないことを願っています。そのために必要な事をぜひ考えてみてください。