沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2011年掲載分 > ED(勃起障害)

ED(勃起障害)(2011年11月22日掲載)

米納 浩幸・ヒルズガーデンクリニック

血管の詰まりが原因

勃起障害はEDと略します。EDは「Erectile Dysfunction」の頭文字をとったもので、直訳すれば「勃起不全」ということになります。しかし、この用語がEDに関する誤解のもととなっています。EDとは「まったく勃起しない」ことだけではありません。「勃起するまでに時間がかかる」「勃起の持続時間が短い」「性交渉の途中で萎(な)えてしまう」などのケースすべてでEDである可能性があります。日本人のED有病率は、40歳代が20%、50歳代が40%、60歳代が60%と高く、ED有病者数は1130万人と推計されています。

EDは血管の病気で、動脈硬化により細い陰茎(ペニス)の血管が詰まってくると起こることがわかっています。心筋梗塞を引き起こす動脈の太さは3から4ミリ、脳卒中を引き起こす動脈の太さは5から7ミリです。それに対し、ペニスの動脈はわずか1から2ミリ程度しかありません。ペニスの血管は心臓や脳の血管に比べて非常に細くてデリケートですから、血管の不調は、まずEDとなって現れやすいのです。EDは心筋梗塞や脳梗塞のはるか前に自覚することから、「男性が最初に自覚する生活習慣病」ともいえます。EDは男性のからだの変調を知らせるシグナルでもあるのです。朝立ちがいつまでもあることが男性の健康の一番のバロメーターなのです。

EDの特効薬にはPDE5阻害薬というものがあり、服用すれば50歳未満では90%、70歳以上でも60%の患者さんに有効だというデータがあります。ただし、心筋梗塞や狭心症で亜硝酸薬(ニトログリセリン)などを使用している人は、残念ながらED治療薬を服用することができません。

最近、外国からの偽造品や未承認ジェネリック薬品が日本に正規のルートを介さずに流入しています。これらの薬は安全性が確認されていません。必ず医療機関を受診し、一度に飲むべき量や薬を飲むタイミング、使用頻度などについて説明を受け、医師の処方によって購入してください。

EDは、最終的にはすべての男性がかかる病気です。人によって、症状が早く現れるか遅く現れるかが異なるだけです。EDは自覚できる病気です。その自覚を率直に受け入れてすぐに治療をすれば、いつまでもはつらつと、若々しく生活することができます。もしEDの可能性があると思ったら、迷わずすぐに泌尿器科の門をたたいてください。EDを克服し、「生涯男性」を目標に生き生きと過ごしていきましょう。