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肥満に多い心・脳血管疾患(2011年11月15日掲載)

木田 三郎・かりゆし病院

病院嫌いで手遅れも

世の人は病院なんて嫌いなものです。しかも無理に健診を受けさせられるものだからますます嫌いになってしまいます。そこには早く終わらせようと待ち構えた医者がいて、脅したりすかしたりした揚げ句、「食事に気を付けて運動をしましょう」と大抵はわかりきったことを言うのです。

仮にあなたが太っていたとしてもたいして困っていないし、今まで無事できたからこれからも大丈夫だと思っているかもしれません。本音では、楽してやせる方法を教えてくれないような医者にあまり用はないのです。漫然と繰り返される医者の言葉は、次第に軽んじられ、病院は疎んじられていきます。こうして病院嫌い医者嫌いを量産しても医者にその自覚はありません。

現在、死亡原因の3割近くが心疾患や脳血管疾患です。死亡するだけで3割ですから助かった人も合わせるともっと多くの人が罹患(りかん)しています。中には病院嫌いのあまり手遅れになった方がいるでしょう。今回はそういう方でも心筋梗塞や脳梗塞になった時に少しでも軽く済むような心構えを手短に書いておきます。

心筋梗塞は、そこに至るまでに狭心症という前兆のある場合があります。狭心症では運動時や階段を上る時に胸が締め付けられるような痛みがあったりします。しかし数分で治まってしまうため、病院に行かない方も多いのですが、たとえ数分で治まっても必ず病院に行ってください。問題は、狭心症では痛みがない時に心電図を録っても異常はないということです。したがって健診を受けて、そこで心電図に異常なしと言われても安心してはいけません。自らが狭心症を疑ったら、内科、できれば循環器科を受診し詳しく症状を話してください。

次に、脳梗塞は身体の片側のしびれ、しゃべりにくさ、口の片側から物がこぼれるなどの症状が現れます。この時、どこが痛いというわけでもないから少し様子を見てみよう、などと思わないでください。一刻も早く救急車で病院へ向かってください。治療開始までが早いと後遺症が軽く済む場合があります。

ただし、どんな治療を受けても、いつかは最期がきます。もし、いまわの際に管につながれてまで無理に生かされたくないのなら、家族にその意思を伝えておきましょう。また、親の意思を知らなければこの機会に、尋ねておくことも大切です。

親の心子知らずと云い、またいつまでたっても親は親、子は子なのです。ゆめゆめご注意ください。