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不整脈(2011年10月25日掲載)

間仁田 守・那覇市立病院

自覚あれば病院で検査

成人では規則正しくトン・トン・トンと1分間に50〜100回の脈を打っています。トン・トトンやトトト・トン・トトトトと乱れていれば不整脈です。不整脈の症状としては、ドキドキする、脈がとぶ、胸が絞めつけられる、めまい、目の前が暗くなる、血の気がひく、失神等があります。症状を自覚したら病院で検査をする必要があります。外来で行える心電図、運動負荷心電図、24時間心電図、心臓超音波検査等と、入院が必要な電気生理学的検査があります。

不整脈の種類には、徐脈性不整脈(脈が遅い)、頻脈性不整脈(脈が速い)、期外収縮があります。徐脈性不整脈には、洞性徐脈、洞不全症候群、房室ブロックがあり、めまいや失神歴のある人ではペースメーカーの植え込みが必要になることもあります。頻脈性不整脈には洞性頻脈、発作性上室性頻拍、心房細動・粗動、心房頻拍、心室頻拍、心室細動などがあります。期外収縮には上室性期外収縮、心室性期外収縮があります。期外収縮および頻脈性不整脈の治療として自覚症状に応じ、抗不整脈薬やカテーテルアブレーション(心筋焼灼(しょうしゃく)術)があります。

頻度の高い不整脈として心房細動があり、70歳以上では約30人に1人といわれ、無症状のことも多く、健康診断などで偶然に発見されることもあります。

心房細動は巨人軍の長嶋さんが脳梗塞(こうそく)になった原因の不整脈として有名で、年間約20人に1人が脳梗塞(心源性脳血栓塞栓(そくせん)症)を発症するといわれています。心不全の既往・高血圧・高齢(75歳以上)・糖尿病・脳梗塞の既往のある方はより高率に脳梗塞を起こしやすいといわれています。治療は整脈を保つために抗不整脈薬、カテーテルアブレーションがありますが、最も重要な治療は脳梗塞予防で、ワーファリンという薬剤で抗凝固療法をおこないます。新薬の登場で、より安全かつ簡便に脳梗塞の予防が可能になってきています。

最も危険な不整脈は心室細動です。この不整脈は、おこった直後に失神し、心肺停止状態になってしまいます。突然死の約6割が心臓病で、その多くが心室細動といわれています。

心室細動を起こした人の救命率を上げる一番の方法はその場での心臓マッサージといわれています。意識がなく、普通の呼吸をしていなければ、直ちに119番通報した後、躊躇(ちゅうちょ)せずに心臓マッサージを開始してください。圧迫は強く(5センチ以上)、速く(毎分100回以上)、救急隊が到着するまで絶え間なくおこなってください。

チムドンドンしたら一度は病院で検査してみましょう。