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睡眠障害(2011年10月18日掲載)

宮里 好一・那覇パレット やはら万国クリニック

心療内科などで受診を

日本では、大人の5人に1人が不眠症に悩んでいるといわれています(日医雑誌)。眠りたい気持ちが強いのに寝つくことができずに悶々(もんもん)とするつらさは、どなたもご経験があると思います。

不眠は、日中の倦怠(けんたい)感や集中力の低下をもたらすことがあります。

チェルノブイリ原発事故は担当者の睡眠不足が関与していたことや、2003年に山陽新幹線で運転士の居眠りがあったことから、「睡眠時無呼吸症候群」がクローズアップされました。

不眠が続くと高血圧や糖尿病の発症危険率が高まることもわかりました。うつ病や自殺、アルコール依存症との関係も指摘されています。

美容と睡眠も関係しています。28日間周期で生まれ変わる肌(表皮)は睡眠が乱れて新陳代謝が不良となると、目の下のクマやにきび・吹き出物などスキントラブルが起こり肌の加齢が促進されます。

睡眠の生理学的な役目としては、心身の休息、ホルモンの分泌、記憶の蓄積が知られており、「心と体は夜に癒やされる、美しさは夜作られる!」といっても過言ではないかもしれません。

不眠解消のこつを述べます。寝つきが悪いタイプの方は、朝日を浴びて毎朝定時に起きること、眠気が起きてから床に付き無理に眠ろうとしないこと、睡眠前のハーブ(アロマ精油)やぬるま湯入浴などがよいと思います。沖縄の薬草クワンソウのお茶もあります。

朝早く目覚めてつらい方は、入眠を遅らすこと、朝の光を避ける工夫(カーテンやサングラス)が効果的です。途中に何度も目覚めたり熟睡感がない方は、うつ病や睡眠時無呼吸症候群などがないのか原因をきちんと調べてみるのが一番大事です。必要時に睡眠薬を正しく服用すると大変有用ですし、上手にやめることも可能です。

先日、中国から中学2年生の方が当院を受診しました。アジア大交流時代の始まりがここにも現れているようです。夜中に体がこわばるとの訴えで、沖縄の病院での診断を希望して夏休みを利用して親子で来られました。「テレビゲームに誘発された睡眠時てんかん」でした。

このケースのようなてんかんではなくて、「睡眠時随伴症」としてこどもの「睡眠時遊行症」(寝ぼけて起きる)や「睡眠時驚愕(きょうがく)症」、家族への暴力が起きやすい大人の「レム睡眠行動障害」などの睡眠障害も注目されています。

眠れなくて悩んでいる方は勇気を出して心療内科や精神科、睡眠外来などを訪ねましょう。きっといいアドバイスがもらえるでしょう。