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肥満(2011年9月20日掲載)

津嘉山 朝洋・那覇パレット やはら万国クリニック

ベルト緩めず 体重管理

生活習慣病は、糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深くかかわっている病気の総称です。このような病気と肥満を合併した状態を、最近ではメタボリック症候群(メタボ)と言います。メタボは、がん、脳卒中、心臓病などの3大死因ともかかわりが深いことで有名です。また、近年では生活習慣の激変により、生活習慣病やメタボの発症が若年化してきました。若年化することで、病気の長期化や重症化が問題となっています。これらの発症に大きくかかわっているのが肥満や運動不足です。

沖縄県でも、近年では肥満や心臓病、糖尿病の増加が目立ちます。そんな沖縄の悪い生活習慣の代表は、夜型の生活リズム、自動車普及に伴った運動量の低下、高脂肪食、野菜の不足などです。

そこで今回、私から運動の効果と体重コントロールに関して少し経験を話したいと思います。

若いころは、体重を意識したことはありませんでした。しかし、30歳を越えたころからおなかも丸みが出てきました。中年太りというやつです。しかし、健康診断ではひっかかりもなく、仕事を言い訳に運動などやっていませんでした。そんな私も、ひょんなきっかけからジョギングを始めました。小学校の通学路を往復するだけで息切れする私も、半年ほどでフルマラソンを完走できるまでになりました。

しかし、もっと驚いたのは、健康診断の結果です。日ごろ、患者さんに「健康のためにも運動しましょう」と言っている私ですが、まさかと思うような結果でした。中性脂肪や血糖、血圧などが軒並み5から10%良くなっているではありませんか。もともと基準値の範囲内で高い値でもなかったので、さらに下がるとは考えてもいませんでした。

今考えると、もともとの検査データは、運動不足とあの時の食生活で、少なからず悪くなっていたのでしょう。それが、運動やフルマラソンのための食生活で改善したというわけです。医者として、全く恥ずかしい話です。今でもデータや体重は、改善したまま維持しています。運動の効果を実感させられた経験でした。

最後に、体重コントロールのためのワンポイントアドバイスです。私は、革のベルトでへそ周りを締めています。食べ過ぎると、ベルト周りのおなかが悲鳴をあげてくれます。減量する時には、ベルトが少しでも緩く感じたら、5ミリほど切ってつめます。いつも同じ穴で止めることで、自然におなかまわりが減ってきます。“ベルトを緩めないこと”が体重管理の第一歩になっています。