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UVカットクリーム(2011年8月16日掲載)

町井 康雄・南部徳洲会病院

塗りっ放しは悪影響

紫外線(UV)はUV―Aの長波長側を除いて電離放射線です。細胞核内の核酸(遺伝子)の直接損傷、細胞内過酸化物産生を介した間接的核酸損傷、タンパク質変性を引き起こします。曝露(ばくろ)部の日焼け、色素沈着、(一時的な)免疫力低下、早期老化、がん化等の原因となります。

例えば水ぶくれができてつぶれてというひどい日焼けは火傷そのものです。その元凶はUV―Bで、皮膚の細胞分裂の場である表皮基底細胞層に到達し、それらを死なせたり、異常な細胞を発生させたりします。

UV―Aは表皮のメラニン細胞を刺激して黒化を起こさせ、さらに表皮を越えて真皮にまで到達し、皮膚に張りとしなやかさを与えるコラーゲン等の線維状タンパク質を変性、変形させるため、しわができやすくなります。

UVは眼ではレンズの透明なタンパク質クリスタリンを変性させてしまい、レンズは白濁し、視力障害が起きます。これが白内障です。

UVは乱反射しやすいとともに高エネルギーであるため、日陰や曇り空でも予想外に生体影響は大きいです。露出部皮膚全体の保護手段に関してはUVカットクリーム等が挙げられます。

SPF値はUV―Bから皮膚の紅斑発生を防ぎ得る時間、PAはUV―Aから皮膚の黒化を防ぎ得る時間と関係する指標です。成分のUV吸収剤は皮膚の身代わりとなってUVから光エネルギーを受け、不安定な高エネルギー状態となっては熱や化学エネルギーとして放出を繰り返します。塗った直後は効果的ですが、塗りっ放しのまま日中ずっと放置ではかえって皮膚に悪影響を及ぼしかねません。

UV反射剤はより安定ですが、光化学的酸化の触媒となる可能性はあります。UVカットクリームが皮膚に適切に塗れているか否かは勘に頼ることとなります。UVを可視化できれば危険予知にもなります。しかし、これは高く付きます。

通常のレンズ用ガラスはUVを通し難く、その上レンズも撮像素子も表面にはUVカット目的のコーティングが施されています。UVはカラーバランスを悪くする元凶だからです。従って、UV撮影対応デジタルカメラは現在生産されていません。

庶民に入手可能な機器の範囲では、UV撮影でなく、強度を数量化する携帯用UVチェッカーの方が現実的です。これは多い少ないを大まかに示す程度のものから公表可能な精度の数値を得られる高級品まで、多様な機種がインターネット通販されています。