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肩の痛み(2011年8月9日掲載)

安里 英樹・はえばる北クリニック

部位見極めリハビリ

「肩の痛み」は肩をぶつけたり、ひねったりしたときに生じますが、何もしていないのに急に痛みが出たり、スポーツ時だけ痛むことがあります。

まず、怪我(けが)での肩の痛みは、骨折や脱臼、腱(けん)や筋肉の損傷などにより起こってくるため、損傷したところを修復することが必要です。脱臼などでは、一度整復してもまた外れるなどの反復性の脱臼にならないように、損傷した傷が比較的落ち着いてくる3週間ほど安静にする必要があります。

次に、何の誘因もなく肩の痛みが起こる場合は、五十肩などが考えられます。五十肩での肩の痛みは大きく分けて2種類あります。一つは突然起こる安静時の痛みです。原因はいまだに不明ですが関節周囲の組織、特に関節包と靭帯(じんたい)の炎症による痛みと考えられています。急性の炎症による痛みですので一般的に2週間の安静が必要です。痛みが強い場合には痛み止めの貼り薬や内服、注射を併用します。

急性の炎症が落ち着いてくると積極的に肩を動かすことを行います。この場合、物を持たずに肩に負荷をかけないように行うことが大切です。健側(けんそく)の手で痛みのある側の手を支えて拳上していく方法もお勧めです。健側と同じようになるまで根気よくリハビリを続けることが大切です。

もう一つは、肩関節包や靭帯が硬くなり肩をどの方向に動かしても関節包や靭帯が突っ張るために生じる安静時(特に夜間)痛です。関節包や靭帯を伸ばすようにするリハビリは、痛みを生じることが多いため、うまくいかないことがあります。リハビリを効率よく行えるようにするために、痛みを軽減させる効果と関節包や靭帯を伸ばす効果を併用した関節内注射をすることがあります。

最後に、スポーツを続けていると大きな外傷もないのに投球などの動作で肩の痛みが生じてくる場合があります。

肩は他の関節よりも動きが大きいため関節の周囲にはたくさんの靭帯や筋腱(きんけん)があり、うまくバランスをとって動かしています。スポーツの動作は繰り返しの動作であることが多く、特定の靭帯や筋腱に負担をかけることが多く認められます。そのため靭帯や筋腱は次第に柔軟性がなくなり硬くなってしまいます。

特定の部位に拘縮が生じるとスポーツの動作においてバランスが崩れてくるために拘縮を生じてない部位に負担がかかり痛みを生じます。この場合、痛みを感じる部位ではなく、拘縮そのものをリハビリで取り除くと痛みがなくなります。