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尿路結石の治療(2011年8月2日掲載)

向山 秀樹・南部徳洲会病院

状態に合わせ方針選択

今回は最新の内視鏡を用いた尿路結石(腎結石)の治療方法について説明します。

尿路結石は泌尿器科でよく認められる疾患で、読者のなかでも尿路結石になった方は少なくないのではありませんか。尿路結石の中でも特に尿管結石は、背中や脇腹が突然の激痛に襲われることが多く、あの痛みはもうごめんだという方も多いと思います。

この尿路結石は解剖学的に分類することが可能で、尿の流れに沿って、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道それぞれに結石が発生し、それぞれ腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。

そしてこれらの結石の場所および大きさで治療方針が決定されていきます。これら尿路結石の治療方針は大きく四つに分類することができます。

お薬などで自然排石を期待する経過観察。体の外から衝撃波を与えて結石を砕く体外衝撃波結石破砕術(ESWL)。おなかを切って結石を取り除く開腹手術。そして内視鏡を用いて結石を破砕・摘出する手術です。

内視鏡とは光ファイバーを利用した細くて長いカメラのことです。これを利用して体の中まで観察することができます。この技術を利用して尿路結石の治療を行います。

以前は内視鏡が太くかつ曲がらなかったために、尿道や膀胱、下部尿管といった比較的尿道に近い、言い換えれば体の表面に近い結石しか対象ではありませんでした。

しかし内視鏡が進歩し直径5ミリ以下の太さになり、かつ先端が180度自由に屈曲させることができるようになったことで、狭く曲がりくねった場所までカメラで到達することができるようになりました。

このようにして尿道から離れた腎臓の中まで内視鏡が挿入できるようになったことにより、腎結石を直接見ることができるようになりました。

さらに、この内視鏡を通して直径1ミリにも満たない細いレーザーを挿入することで、尿路結石をレーザー光で破砕することもできます。

さらに破砕のみでなく、これも細いバスケットカテーテルと呼ばれる軟らかい針金の先端に小さなカゴを付けたもので、結石を拾い除去することもできるようになりました。

ただし全ての結石に対して使用できるというわけではありません。結石の状態や患者さんの状態に合わせて、内視鏡にするか、ESWLを用いるか、それとも開腹手術をするか、治療は選択されていきます。治療方法の選択にも内視鏡同様に柔軟性が必要となるわけです。