沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2011年掲載分 > 子どもの中耳炎

子どもの中耳炎(2011年7月5日掲載)

寺本 典代・寺本耳鼻咽喉科医院

10歳を過ぎると軽快

私の、ホームページを通じて、全国から寄せられる医療相談で最も多いのは子どもの中耳炎についてです。今日は、その中のいくつかを紹介し、子どもの中耳炎について母親が感じる不安を取り上げてみましょう。読者からの質問メールを下欄に示します。

風呂、洗髪、プール、飛行機、保育園、予防接種などは、たいていOKです。鼓膜切開や抗生剤、鼻洗浄は必須というわけではありません。

中耳炎はケロッと早く治る子どもと、何回も繰り返す子どもとで、体質に大きく差があります。ただし乳幼児期に頻繁に中耳炎に罹患(りかん)した子どもでも、たいていは小学生になれば軽快します。非常に長引く中耳炎でも、多くは10歳を過ぎると落ち着いてきます。鼓膜のひ薄化、癒着、穿孔(せんこう)や中等度の難聴を残すのはひとにぎりですが、十分な観察のうえ治療可能です。ごく軽い中耳炎でも急性のもので1カ月、慢性(滲出(しんしゅつ)性)のもので3〜6カ月は、中耳に水がたまった状態が続きます。

その子が、この先数年も長引くのか? チューブを留置すべきか?は、しばらく経過をみればおおまかに推測できます。そして、長引く理由は抗生剤や鼓膜切開が不適切であったわけではなく、子どもの体質に負うところが大きいと思います。しかし、たとえ重症であっても、子どもの中耳炎は成人する前にほぼ落ち着きます。

読者のメール相談を通じて、私が言いたいことは「お母さん、医師の説明に1回で納得できなければ、何度でも何度でも分かるまで聞いてください」ということです。お母さん! あなたの熱意ある問い掛けが医師を育てるのですから。私たち耳鼻科医と中耳炎を乗り越えましょう! じゃあ一緒に頑張りましょうネ!