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心臓病・脳卒中の予防(2011年5月24日掲載)

新里 脩・しんざと内科

必要な薬の活用ぜひ

わが国の死亡原因で一番多いのががん、次いで心臓病、3位が脳梗塞や脳出血といった脳卒中です。この心臓病や脳卒中は動脈硬化をもとに発症します。動脈硬化を引き起こすリスク因子としては高血圧、糖尿病、高コレステロール血症(高脂血症)、肥満、喫煙の五つが挙げられます。

動脈硬化は血圧や血糖値、コレステロール値が高いほど進行し、それに肥満や喫煙が加わるとリスクはかなり大きくなります。心臓病や脳卒中を予防するにはこれらのリスクを解消することが大切です。この五つの因子は生活習慣病とも呼ばれ、日頃の食習慣や運動不足が深く関係しており、生活習慣の改善が重要です。

とはいっても、これが難しく、頑張ってはみたものの血糖値やコレステロール値の改善が不十分な場合がしばしばです。そのようなときは薬の服用が必要です。血圧が高い人には降圧剤、糖尿病には血糖改善薬、コレステロールが高い人には高脂血症薬があります。

人によってはこれらの二つあるいは三つが必要かもしれません。ところが、ほとんどの方が薬に抵抗感をお持ちのようです。ずっと飲み続けることで体に害が及ぶのではないかと不安を抱いているのかもしれません。しかし、これらの薬は安全性が十分に検証されているので心配はいりません。薬を敬遠してリスクを放置することの方が問題です。脳卒中を起こし、後遺症が残った後から薬を飲み始めるのではなく、健康を保つために薬の服用が必要なのです。

喫煙も重大な危険因子です。何度も禁煙に失敗した経験をお持ちの方は多いと思いますが、そういった方も薬の力を借りてみてはどうでしょう。最近では有効な禁煙補助剤があり、3カ月の服用で7割近くの方が禁煙に成功しています。

最後のリスク因子である肥満、これに対する薬はありません。しかし、このリスクこそが最も重大です。肥満を解消すれば高血圧や糖尿病、高脂血症もかなり改善されるはずです。沖縄県の長寿が危うくなったのも肥満が一番の原因です。決して容易ではないのですが、肥満を解消する努力を続けてください。リスクがあればそれを一つ一つ解消していくこと、そのために必要な薬は活用していただきたいと思います。

私自身も2年前から血圧とコレステロールの薬を飲み始めました。たばこは吸いませんし、肥満・糖尿病はありません。ノーリスクです。これに加えてほぼ1日おきの運動、そして週3日程度の適度な“百薬の長”、これでまず脳卒中や心筋梗塞の心配はありません。