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がん検診のすすめ(2011年4月26日掲載)

宮城 淳・沖縄赤十字病院

医療スーパーマン目指す

以前も本紙へ肺がんについて執筆しましたが、沖縄県では肺がんの割合が全国でもトップクラスです。原因はいろいろと研究されていますが、はっきりとした原因は分かっていません。肺がんに限らず、がんの発症を予防することは難しいのです。

では、どうすればいいのか? 答えは一つです。早期発見、つまり検診で早く見つけることが生命予後を延長させると厚労省のがん研究班も報告しています。小さいうちに、転移していないうちに見つかれば切除(手術で取り除くこと)によって治る確率がきわめて高くなります。転移で見つかった場合でも、最近では新規抗がん剤、分子標的治療薬とよばれる治療薬の開発により治る人も多くなりました。でも「切除」と比較すると治る確率は非常に低いのが現状です。

厚労省も早く見つけることに重点を置いた「がん対策基本法」を2006年に制定、取り組みを開始してから胃がん、大腸がん、肝臓がんによる死亡率は年々減少傾向にあります。しかしながら肺がんの死亡率は増加の一途をたどっているのです。

検診でがんが見つかった場合、治療する病院や主治医を探すことになります。検診を受けた施設から幾つかの病院を紹介されます。インターネットや口コミ、知り合いからの情報も気になりますが、本当にそれが正しいのか不安です。検診施設から紹介された病院であれば、ガイドライン(学会が定めた最も治る確率の高い治療法)に沿った治療が行われていますので、どこを選んでも問題はないと考えられます。

最近、医師会の集まりで話題になっているのですが、患者さんが主治医(医療従事者、救急隊員も含めて)に求めるものが大きいということを感じます。

例えば病気の説明をするときは、柳卓さん(ベテランアナウンサー)のように流暢(りゅうちょう)で分かりやすい話し方が求められ、手術や治療の技術はブラックジャックのような神業が期待されます。さらに人間性はマザーテレサのような優しくいたわりのある心で、いざというときはすぐに駆け付けてくれて24時間、不眠不休で見守ってくれるスーパーマンを想像されています。でも現実には医師も看護師も皆さんと変わりのない一人の人間なのです。人が見てない所で鼻をほじくることもあるのです。医療従事者を代表して、ご理解よろしくお願いします。とはいえ、みんなで目指しているのは、そんな医療スーパーマンなのです。