沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2011年掲載分 > こむら返り

こむら返り(2011年3月29日掲載)

小禄 尚・伊差川整形外科

数分ストレッチで予防

寝ているとき、突然ふくらはぎが引きつり、固まって激しい痛みに襲われる「こむら返り」に悩んでいる人は少なくないようです。こむら返りがよく起こる人の場合、「また起こるのではないか」と不安になり、痛みで夜中に目が覚めて、寝不足になることもあるようです。

強い痛みは数分で治まるものの、ふくらはぎ、足の裏などに突然けいれんが起こり、痛くて悲鳴がでるほどです。

「こむら」とはふくらはぎのことです。こむら返りはふくらはぎ(腓腹筋(ひふくきん))が突然けいれんを起こして、硬くなり、強い痛みが起こる状態です。

けいれんの持続時間は数秒から数分間程度です。健康な人でもさまざまな年代の人に起こりますが、特に60歳以上の女性に多いといわれています。筋肉が縮んだり、冷えているときに起こりやすくなります。また、ある種の病気や薬剤によっても起こりやすくなります。しかし多くは病気とは関係なく起こりますのであまり心配する必要はありません。

健康な人では(1)寝ているとき(2)運動時(急に運動をしたとき)(3)妊娠時―などに起こりやすいようです。就寝中は布団の重みで膝が伸び、足が下向きになって、ふくらはぎの筋肉が縮んだ状態になるため、こむら返りが起こりやすくなります。

また、朝目覚めたときに布団の中で背伸びをして爪先を伸ばすと、ふくらはぎが普通以上に強く縮んでこむら返りが起こりやすくなります。

病的なものとしては、脱水、肝硬変、血液透析、薬剤の副作用、神経系の障害(腰椎椎間板ヘルニア等)、内分泌障害などが主な原因です。整形外科、内科、神経内科などを受診し、こむら返りが起こりやすくなる病気の有無をチェックしてもらってください。

こむら返りの予防には、ふくらはぎを伸ばすストレッチが有効です。私の担当した患者さんの中にも、ストレッチでこむら返りが起こらなくなったという人がいます。2、3分でよろしいですから、毎日、寝る前にしてみてください。もうこむら返りが起こらなくなったからと、ストレッチをやめてしまうと、また起こりますから、時間は短くても毎日続けることを勧めています。

ストレッチを行っても、こむら返りを繰り返す場合は、薬物療法を行います。筋肉の収縮をほぐす筋弛緩(しかん)薬や漢方薬などが使われます。

ふくらはぎの筋肉は第二の心臓とも呼ばれ、足先から心臓まで血液を運ぶ助けをしているので、ふくらはぎのストレッチは血流を良くして足のむくみの予防にもなります。