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子どもが急性胃腸炎のときの食事(2011年3月1日掲載)

白井 和美・白井クリニック

年齢・症状別に対応を

急性胃腸炎とは、ウイルスや細菌によっておきる嘔吐(おうと)、吐き気、下痢、腹痛を伴った病気を指します。熱やその他の症状が伴うこともあります。この場合お薬とともに食事療法が重要になります。病院では、「消化の良いものを少しずつ与えてください」や「脱水にならないように注意しましょう」と言われますが、細かな説明を聞き漏らすことも多いのではないでしょうか。

まず、吐き気が強く、何度も嘔吐する場合は、無理に水分を与えず、少しの時間胃腸を休ませましょう。病院からの吐き気止めの薬があれば、それを使用して30〜40分してから少量の水分を与えます。

はじめは一口程度の量から試してください。特に小さな子供たちは、お薬が効いて吐き気が無くなったときには、与えられた水分を一気に飲んでしまいがちです。大人では、加減することも可能ですが、子供たちには難しいことです。

母乳の場合は、5分程度の授乳から始めましょう。大人が注意して、1回に与える量をごく少量にすることもポイントです。それでも駄目な場合、小さな氷のかけらを試してみてください。口の中で少しずつ解けるためうまくいくことが多いようです。うまく飲めれば少しずつ量を増やしましょう。

年長児の場合、炭酸飲料は避けたほうが良いでしょう。

次に下痢のときの食事についてです。

母乳や粉ミルクしか飲んでいない乳児では、母乳や粉ミルクはそのまま与えても大丈夫です。離乳が進んでいる乳児や、もう少し年長の子供たちへの水分補給は、病院で処方される脱水用の顆粒(かりゅう)飲料が飲めれば良いのですが、味が悪く飲んでくれないことも多いものです。市販の乳児用飲料もありますが、高価な点が課題です。スポーツ飲料は糖分が多く適しません。

野菜(ニンジン、ジャガイモ、トマトなど)スープや、みそ汁の上澄み、重湯などとお茶、さゆとの組み合わせでも大丈夫です。

食事は、便の状態に合わせて(水のようなら水分中心、ドロドロなら流動食といったように)硬くしていくと良いでしょう。

以前から、消化のよいものとして、BRAT食(バナナ、米、リンゴ、食パン)が勧められていましたが、これに加えて、うどんや豆腐、白身の魚、繊維質の少ない野菜類はお勧めです。油分の多いもの、乳製品、甘すぎるものは避けてください。

また、柑橘(かんきつ)系の果実(ミカンなど)は胃を刺激するため胃腸炎では勧められません。

少し大変ですが、皆さん頑張ってください。