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冬季のスキンケア(2011年2月8日掲載)

長嶺 安司・よみたん皮フ科

入浴後の保湿剤効果的

今年の冬は、例年にないほど肌寒い日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。冬季の皮膚のトラブルとして多いのは、カサカサ(乾燥)としもやけでしょう。

皮膚の乾燥は、角層の水分量の減少により起こります。乾燥した皮膚は、かゆみを感じる知覚神経が、表皮内に侵入することによりかゆみを誘発しやすいといわれています。

皮膚乾燥を悪化させる因子として、加齢に伴う角層内の皮脂やセラミドの減少、低湿度による環境要因があります。

臨床症状は、乾燥、粗造化した四肢露出部に好発します。皮膚の乾燥はかゆみの閾値(いきち)を低下させるので、掻破痕(そうはこん)や紫斑がみられることが多く掻破を繰り返すことにより炎症が惹起(じゃっき)され病変は湿疹に変わります。それによりさざ波状、亀甲紋様あるいは菱形(ひしがた)模様の亀裂を生じ、さらに貨幣状湿疹の所見や色素沈着を見るようになります。

治療は、保湿剤によるスキンケア、皮膚炎に対する薬物外用です。

保湿剤に関しては、ワセリンなどの油脂性基剤は、エモリエント製剤と呼ばれ、角層上に被膜を作ることにより蒸発する水分を角層内に密閉します。尿素製剤や酸性ムコ多糖製剤(モイスチャライザー製剤)は、外用することにより水分と結合して角層水分量を増加させます。入浴後の保湿剤外用は効果的です。

また角層のバリアー機能を破綻させないよう頻回の入浴を控えることや加湿器を使用し室内の湿度を保つことは有用です。掻破により生じた皮膚炎に対しては、マイルドなステロイド軟膏(なんこう)を使用します。

次は、しもやけ(凍瘡(とうそう))です。発症機序として、寒冷暴露による血流障害とその回復力の低下が推定されています。寒冷に暴露した既往があり、循環障害の起こりやすい部位に腫脹(しゅちょう)、うっ血、水疱(すいほう)、びらん、潰瘍を生じ、掻痒(そうよう)を伴い、指、足趾(そくし)が好発部位です。全体が紫藍色、うっ血性に腫脹するタイプ(樽柿(たるがき)型、T型)と小紅斑、小丘疹からなるタイプ(多形紅斑型、M型)に分けられます。

予防として、冷気を避けることが大切です。

例えば、早朝夜間のウオーキングの際、手袋、耳当て、マスク、帽子、靴下などの防寒具を使用しましょう。治療は、症状に応じて、ビタミンEの内服や外用を行っています。もうしばらく肌寒い時季が続くと思いますが、スキンケアを十分行い、快適に過ごしましょう。