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計るだけダイエット(2010年12月28日掲載)

島袋 毅・みなみしまクリニック

毎日の計測で増減に敏感

沖縄の中年男性の2分の1、中年女性の3分の1の方が肥満といわれています。中でも内臓脂肪型肥満では、パンパンに膨らんだ脂肪細胞から、いろいろな悪玉ホルモンが出ており、それぞれ生活習慣病との関連がいわれています。高血圧とアンギオテンシノーゲン、脂質異常症とFFA、糖尿病とTNF―α、動脈硬化とPAI―1などです。

体重が落ちてズボンが緩くなるとこれらは減っていき、逆によいホルモンであるアディポネクチンというものが多く出てきます。糖尿病を予防し、傷ついた血管を修復する力をもったいわば正義の味方です。

今肥満解消のためのいろいろなダイエット法が世間をにぎわせていますが、比較的お金も、準備も要らないユニークなものとして、「計るだけダイエット」があります。世にも奇妙な方法です。大分大学で考案され、ご存じの方も多いと思いますが、一度はやってみる価値はありそうです。

準備するものは50グラム単位まで量れる体重計とグラフ用紙。1日2回、朝食前と寝る前に体重を量り、グラフ用紙に点を打って線で結びます。1日のうちで体重が一番軽い時と重い時を記録していくのです。甘めの目標(1カ月で1・5キロ、1日に50グラムの減量)を設定しスタートです。量れないときがあっても、気にせずその次から量るとか、増えた体重は3日で元に戻すとか、気楽にやることが長続きのこつのようです。

痩せる仕組みは、毎日体重計に乗ることによって、体重の増減に敏感になり、自分の食べ方を反省し、痩せる食べ方を工夫するようになることがいわれています。わずかずつグラフが右に下がるのを目の当たりにすることによって、脳内の快楽物質が出て、喜びを感じ、楽しく、リバウンドなく、ダイエットを続けられるようです。

1年で10キロの減量に成功した方もいらっしゃいました。なかなか下がらないという方でも不思議なことに、スタート時の体重よりは増えてはいませんでした。少なくとも継続したことによって、体重増加阻止には役立っていたようです。夕食を早い時間に、少なめにとった翌朝にはよく減っているようです。食べ過ぎにブレーキをかけている意外な自分をふと発見するかもしれません。体重が増えてしまったら、その言い訳を余白に書いても良いですし、「歩いて買い物に行った」「今日1日小食系で過ごした」など「ほめ日記」代わりに利用してもよいかと思います。

「計るだけダイエット」を行って、体重がどれだけ下がるか、1カ月後の自分に期待して始めてみましょう。