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糖尿病と腎臓病(2010年11月23日掲載)

上江洌 良尚・うえず内科クリニック

生活習慣の改善が大切

糖尿病はよく聞き慣れた、ありふれた病気ですね。皆さまの身の回りにも糖尿病やメタボ、そしてその予備軍の方が結構おられるのではないでしょうか。

ご存じの方も多いと思いますが、沖縄県は男女ともに他県よりも肥満者の割合が約2倍で日本一の肥満県です。しかし、かつては日本一の長寿県であったはずですがどうしたことでしょう。最大の原因としては、戦後の急速な食生活の欧米化に伴う脂肪摂取の増加を主とした過食、運動不足などとされています。

また、沖縄県は透析患者さんが多いことでも知られています。糖尿病や肥満に関係しない腎臓病も多いですが、透析に導入される方の一番の原因は糖尿病ですので肥満、高血糖に関連した腎臓病が最も大きな問題ということになります。私の外来に来られる患者さんの中にも明らかに食べ過ぎ、飲み過ぎが原因で糖尿病、メタボ、腎臓病になったと思われる方を多く見うけます。この予防法そして治療法は何と言っても、生活習慣の改善が一番です。

薬はもちろん大切で必要ですが、その前の基本としての生活習慣が重要です。つまり食べ過ぎないように気をつけ、過度の飲酒をせず、禁煙し、何でも良いから運動を始めることです。喫煙は、がんや心臓病だけでなく、糖尿病の発症や腎臓病の進行にも関連しているとされています。たばこも値上げされたので喫煙される方はぜひこの機会に禁煙をお勧めします。

また、「運動はいつしたらよいですか」とよく聞かれますが、時間に関係なく自分の都合が良い時にすればよいと思います(ただし重度の網膜症、腎臓病、心臓病を合併している方は主治医と運動の可否について相談してください)。

とりあえずの目標としては、1日30分間のウオーキングを週3回行うと健康の維持と肥満の予防に有効とされています。30分時間をとるのが難しいというのなら、10分間の運動を3回に分けて行っても良いわけです。それぞれ置かれている状況が違いますので、自分に合わせて、無理せず継続できる方法を考えてみてください。

私自身も仕事が多忙で、1日の仕事が終わるとぐったりとして運動どころではない状況でしたが、現在はスポーツジムで定期的に運動を続けて体調を整えています。

事務系の仕事の方は神経は疲れていても体は動かしていない方が多いと思います。運動することで、心身ともにリフレッシュできますし、病気の予防にもつながります。まずは、散歩から始めてみてはいかがでしょうか。きっと気分がさわやかになり良い変化がおこりますよ。