沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2010年掲載分 > 解熱剤の使い方

解熱剤の使い方(2010年11月16日掲載)

吉本 栄司・よしもとこどもクリニック

つらそうな状態の場合に

これから冬に向かうにつれお子さまがインフルエンザをはじめ高熱を出す病気にかかることがしばしばあると思います。

そういった患者さまに病院で解熱剤を処方した際に、親御さんからどのように使えば良いかと聞かれることがよくあります。子どもの発熱の原因として最も多いのは風邪をはじめとする感染症によるものです。感染症にかかると体はいろいろな物質をつくり、それらを総動員して感染症の原因となっている細菌やウイルスをやっつけようとします。その結果として発熱という状態が起こります。

解熱剤は熱を下げる薬ですが、同時にこれら動員されてきた物質を抑える薬でもあり、体温は下がるけど、防御の手を緩めてしまう可能性もあります。かといって高熱が続くことはつらいことですし、体力を消耗することでもあります。

この両面を考えて、解熱剤を使うかどうか判断したら良いかと思います。ただ医師によってもこの使うタイミングの説明が微妙に違うことがありますが、解熱剤を使うのは熱の高さよりもむしろ全身の状態によって判断するのが良いと思います。

また、高熱が長く続いて脳に異常を来さないか心配される方も多いですが、一般には体温は脳でコントロールされており、上限なく上昇し続けることはありません。41度以上になる場合はあまり全身状態が良くなくコントロールの機能が落ちているということで、原因というよりも結果とも考えられます。

発熱の原因およびその経過にもよりますが、一般には38・5度以上であっても元気があれば、解熱剤を使用せず冷やすだけでいいと思います。38・5度以上の高熱が続いてしんどそうなとき、ぐったりしているときに使用するように私は説明しています。

冷やすのは、首、脇の下、股の付け根などを氷枕などで冷やします。熱があっても寒いと言っているときには冷やすとかえって気分が悪くなるので避けた方が良いでしょう。

解熱剤の使用は1日2〜3回にとどめ、4〜5カ月未満の乳児には一般的には使いません。解熱剤としては小児科ではアセトアミノフェンを最もよく使います。インフルエンザ、水痘に対しては、望ましくない解熱剤がありますので注意が必要です。

子どもは急に高熱を出すことが多く、特に乳幼児のお子さんを持つ親御さんは高熱が出ると心配して慌てて救急外来を受診することもよくありますが、熱の高さだけではなく全体的な様子を十分観察することが肝要です。