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婦人科あれこれ(2010年11月9日掲載)

宮城 直子・Naoko女性クリニック

我慢しないで早めの受診

女性は、さまざまな症状と向き合いながら日々仕事や家事をこなしています。若い世代では、月経痛・月経前緊張症(PMS)・月経過多。40代50代は、プレ更年期や更年期のホットフラッシュ(急にのぼせて汗がふきだす)、不眠、肩こり・腰痛、イライラ、落ち込みなどの気分変調など。老年期には子宮や膀胱(ぼうこう)が下がることによる頻尿、尿漏れなど。全年齢にわたって不正出血(月経以外の出血)、帯下(おりもの)の異常、外陰部のかゆみ、腹痛など。

なかには、このような症状を経験したことがないラッキーな女性もおられますが、症状が強いにもかかわらず我慢して、日常生活に支障を来した状況で、「数年前からの症状ですが…」と来院される方を時々見掛けます。

例えば、長期間の不正出血や、月経量が多いため、鉄欠乏性貧血になってヘモグロビン濃度が正常の半分近くと重症になっている方。月経痛がかなり強く、吐き気を伴って大変という状態で、仕事や学校に行っている方。鎮痛剤を使ってはいけないと勘違いして我慢している方。更年期症状でいろいろな診療科を受診して最後は婦人科では…と来られる方。

出血や痛みは、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜増殖症・子宮がん(子宮頸(けい)がん・子宮体がん)などの治療を要する疾患がある方と、全く原因疾患はないけれど症状が強い方がいます。前者の場合、専門医で適切な治療(投薬、手術など)を要します。後者の場合、痛みに対しては上手に鎮痛剤を使うこと。痛みと月経量のコントロールには低用量ピルなどのホルモン剤が有効です。冷え性などの血液循環の悪い方には漢方薬が効く場合もあります。

更年期症状には、ホルモン補充療法や、漢方薬が有効です。最近は、貼り薬やジェルなど新しいタイプのホルモン剤もあります。

婦人科受診に抵抗のある方が多いようですが、最近は性能の良い超音波の機械があり、子宮や卵巣を経膣(ちつ)的に簡単に鮮明に診ることができます。中学・高校生や未婚の方の性交未経験者は内診しないでも腹部からの超音波検査で診ることができます。

また、最近子宮頸がんの予防ワクチンが使えるようになり、がんがワクチンで予防できる画期的なことです。特に若い方はぜひ、接種してほしいものです。

あらゆる年齢の女性の皆さん、婦人科かかりつけ医を持っていつでも相談できるようにしましょう。あなたのつらい症状を解決する良い方法が、きっと見つかります。