現在、日本人の死因第1位はがんであり、死亡者のおよそ3人に1人ががんで亡くなっています。沖縄県でも1年間に約2500人の方ががんで亡くなっています。がんにかかる人も年々増加してきており、治る人を含めると女性では3人に1人ががんにかかり、男性では(なんと!)2人に1人ががんになるといわれています。
つまり「あなたはがんです」と言われることは現在では珍しいことではなくなってきているのです。では「あなたはがんです」と言われたらどうしたらいいでしょうか。
もちろん治癒(完全に治る)を目指して頑張って手術などの治療を受ける人が多いでしょう。治癒が困難であればできるだけ長生きできるような治療をするかもしれません。まったく治療しないという人は少ないでしょう。
いずれの治療を行うにしても病気を治す以外に症状を和らげる(緩和)治療も一緒に行うことが一般的です。
皆さんは緩和ケアや緩和医療という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。緩和ケアとは、つらい症状(痛み、不安、気持ち悪い、息苦しいなど)を予防したり、軽減を図ったりして、生活の質(QOL)を向上させるケアのことです。
緩和ケアは最期の看取(みと)りのイメージが強く、悪いイメージを持っている方もいると思いますが、緩和ケアは終末期のみではなく治療の早期から行い、現在起きている問題に対処するだけでなく、問題が起こらないように予防することも含みます。
手術や抗がん剤治療、放射線治療などを受けている方の中には、副作用や後遺症によるつらい症状があり治療を続けることが難しいと感じる方や、がんそのものの症状がきつく治療が行えないという方もいらっしゃいます。
そのような場合に適切な緩和治療を受けて症状が緩和されれば、また治療を再開できる方もいるのです。
病院によっては緩和ケアチームが活動しているところがあります。医師のみでなく看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーなど多職種によるチームで、それぞれが専門分野を通して患者さんにとって一番いい方法を考えて治療やケアにいかしていく活動をしています。
禁煙をしたり、生活習慣病に注意してがん予防に努めたり、検診を受けてがんの早期発見、早期治療を行うことも大事ですが、もしがんと診断されたら、緩和ケアも同時に行いながら治療を続けることが重要だと思います。
緩和ケアチームの活動は、がん診療の重要な一環であります。ぜひご相談ください。