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心臓カテーテル治療と検査(2010年10月19日掲載)

小田口 尚幸・中頭病院

技術進歩も課題あり

狭心症、心筋梗塞(こうそく)の治療としてカテーテル治療があります。これは局所麻酔をして手首やひじ、脚の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を入れ、心臓を栄養する血管(冠動脈)を拡(ひろ)げる治療法です。

全身麻酔をして手術をする心臓バイパス手術は従来の一般的な治療法ですが、カテーテル治療も進歩しています。カテーテルが細くなり患者さんによっては手首からの治療もできるようになり、ステントという金属性の筒状のもので拡げることで合併症や再狭窄(きょうさく)率がバルーンだけの治療よりもよくなりました。

ステントには、再狭窄予防の薬を塗っていないステント(ベアメタルステント)と、薬を塗っている薬剤溶出型ステントがあります。

再狭窄はカテーテル治療後に治療した血管がまた狭くなるもので、ベアメタルステントの欠点でした。薬剤溶出型ステントはベアメタルステントより再狭窄が少ないのですが、金属が血管の内側の皮(内皮)で覆われるのが遅く、血液の塊(血栓)が付いて狭心症や心筋梗塞を再発することがまれにあります。そのため血液をさらさらにする薬(抗血小板剤)を当分の間2種類飲む必要があります。

薬剤溶出型ステントで治療後短期間のうちに他の病気で手術をすることになったり、大腸検査を受けたらポリープがあり切除することになったりすると、薬を止められないので困ることがあり、まだ課題があります。

診断方法も進歩しています。最近はCT(コンピューター断層撮影)が高性能になり撮影時間が10秒間ほどと短くなっています。以前のCTでは息止めが30秒間ほど必要で、検査前に患者さんと一緒に息止めの練習をすることもありましたが必要なくなりました。

カテーテル検査は通常入院が必要ですが、高性能のCT検査では外来で検査ができます。ただ撮影時間は短いのですが心拍数が多いときれいな画像がとれないため、薬で少なくする必要があります。そのため安静が必要で準備から検査終了までは時間がかかり予約検査となります。冠動脈に硬い石灰が付着していると狭窄が分からないことがありますが、9割ぐらいの人では狭窄があるかどうか分かります。

検査結果はコンピューターで画像処理が必要なので結果が分かるまで通常1週間ぐらいかかります。CT検査で異常があればカテーテル検査が必要で放射線の被ばくが多くなります。症状が典型的な場合はカテーテル検査が優先されます。

検査も治療もまだ課題はありますが今後も進歩していきそうです。