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光老化について(2010年8月24日掲載)

米須 麻美・まみ皮フ科クリニック

幼児期から紫外線対策を

こんがりトーストされた娘の顔を見て愕然(がくぜん)としている夏休みですが、紫外線の害についてお話したいと思います。

紫外線は、波長によってUVA、UVB、UVCに分けられます。波長の最も短いUVCは、オゾン層で守られ地表には到達しません。UVBは、皮膚の浅い層に作用します。皮膚が赤くなる「日焼け」や色が黒くなるのは、UVBによるものです。

地表に到達する紫外線の99%を占める最も波長の長いUVAは、皮膚の深い層まで到達し、しわ、たるみの原因となります。UVAは、窓ガラス越しにも降り注いでいて、曇りの日でも晴れの日の約6割、雨の日も約3割は降り注いでいます。皮膚の老化は、加齢に伴う自然老化と紫外線による「光老化」があり、光老化が見た目の老化(シミ・しわ・たるみ)の原因の7〜8割を占めるといわれています。

皮膚の浅い層(表皮)にメラニン色素を作る色素細胞が存在しています。シミとは、メラニン色素の局所での増加です。紫外線にあたると、細胞の遺伝子が傷つき、色素細胞が増え、メラニン色素の生成も促進されます。

また紫外線により活性酸素が発生し、さらに遺伝子を傷つけます。細胞の遺伝子に傷が生じることの積み重ねが、皮膚がんとなります。日焼けで色が黒くなるのは、細胞の遺伝子の傷を増やさないために、メラニン色素が増えて細胞を紫外線から守ろうとする、生体の防御反応ともいえます。光老化は、子供のころからの紫外線のダメージの蓄積で、成人以降にシミ・しわ・たるみとなって現れ、皮膚がんの原因となります。

人は、一生で受ける紫外線の80%を20歳までに受ける、といわれています。つまり、光老化を予防するには、子供のころから紫外線対策を行わなければなりません。

白人は特に紫外線に弱く、オーストラリアなど紫外線の強い国では、皮膚がんの発生を予防するため、国を挙げて幼児期から紫外線対策を行っています。日本でも、母子手帳の記載から「日光浴」の文字は消え「外気浴」に変更されています。日光浴をしないとビタミンD不足になって、くる病や骨粗しょう症になるのでは、と心配する人もいるでしょう。しかし、どんなに紫外線対策を行っても、日常生活で完全に紫外線をカットすることはできないので、皮膚のビタミンD産生が足りなくなる心配はありません。

(1)4月から10月、午前10時〜午後3時の紫外線は特に注意する(2)日焼け止めをこまめに塗る(落ちたと思ったら塗り足しを)(3)つばが広い帽子、日傘、サングラス(眼を守るため)などを利用する(4)素肌を露出しない―以上の紫外線対策を上手に組み合わせ、沖縄の長い夏を楽しみましょう。