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緑内障(2010年4月27日掲載)

石川 修作・おもろ眼科

早期発見 40歳超は眼科へ

「先生、白内は手術すれば治るけど緑内は治らないよね〜」とよく質問されます。このように、緑内障という病気は“見えなくなる”というイメージを皆さんもたれていると思います。実際2006年の厚生労働省の報告では、緑内障は中途失明のトップとなっています。40歳以上の20人に1人が緑内障であることも疫学調査(2000年〜01年)によって明らかにされています。

このような高頻度な疾患であるにもかかわらず、緑内障は末期になるまで症状がないため、発見が遅れているのが実情です。多くは人間ドック、結膜炎などで眼科を受診した際に発見されています。

皆さんよくご存じのように白内障は、水晶体が濁って見づらくなる病気で、人工レンズに置き換える手術によって視力回復が大いに期待でき、早ければ手術翌日からよく見えるようになり、治療効果が迅速にでます。しかし、緑内障は進行するか現状を維持するかで、病態が改善することなく治療効果を患者さんが自覚することはありません。

視神経が、何年もかけてじわりじわりダメージを受けて、徐々に見える範囲が狭くなってくるため、悪くなっているという自覚も全くありません。視野障害の進行がなく現状維持できていれば、十分な治療効果が得られていると考えていいのです。緑内障の進行に大きく関与しているのは眼圧(眼の硬さ)です。眼圧を下げることが緑内障治療で最も大事で、眼圧を下げることで視神経の損傷を食い止めることができるのです。

緑内障は必ず眼圧が高いと考えられている方も多いと思いますが、日本人で最も多いタイプの緑内障は、眼圧が正常範囲にある正常眼圧緑内障です。正常眼圧は21ミリ水銀柱以下で、日本人の平均眼圧は15ミリ水銀柱です。このように眼圧が正常範囲にある正常眼圧緑内障の治療でもより低い眼圧に保つことで視野障害の進行を食い止めることができるのです。

緑内障の治療として(1)目薬(眼圧下降薬)(2)レーザー治療(SLTp)(3)ろ過手術―がありますが、すべて眼圧を下げる目的で行われます。治療を始める前に重要なこととして、(1)緑内障の進行程度(2)治療前眼圧―が挙げられます。治療する前の眼圧よりどれくらい下がれば緑内障の進行を阻止できるかは大まかに分かっており、緑内障の進行程度により、治療目標とする眼圧を設定することは、非常に重要です。緑内障は早期に発見し、早期に治療することで進行を最小限に抑えることが可能です。40歳を超えたら、一度眼科での精査をお勧めします。