沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2010年掲載分 > 大きい病院と小さい病院

大きい病院と小さい病院(2010年3月16日掲載)

真栄城 修二・まつおTCクリニック

かかりつけ医の“ススメ”

皆さまは検診の異常や体のことで気になる時、どういう病院に行きますか? 多くの方は設備も人もそろっている大きな病院(総合病院)受診を希望すると思います。確かにそこでは詳しい検査もできて、多くの医師に診てもらえるので安心でしょう。しかし、行くと長い間待たされ、十分に話もできず、何度か通い、投薬と生活指導を受け、通院になる…という経験をされた方は多いと思います。

このように通院が始まった皆さまへ提案です。かかりつけ医を持ちませんか。かかりつけ医を持つとは皆さまの近所の小さな病院(○○医院、○○クリニックというところ)へ通うことです。そこを体に関するよろず相談窓口にしてしまいましょう。健康に関して何でも遠慮なく相談できて、簡単な薬なら専門外でも臨時に出してくれます。また必要あれば専門病院に紹介もしてくれます。気になれば予約外でも受診可能、時間外は電話対応、というところもあります。通常はかかりつけ医に通院。何かあれば専門医を紹介してもらい、落ち着けばまたかかりつけ医へという流れで大きな病院と小さな病院が皆さまの健康を支えていくという考え方はすでに厚生労働省も推奨しています。

近所のかかりつけ医が皆さまの病気の専門医であれば良いのですが、そうでない場合もあります。小さな病院の中には専門外でも診てくれる医師はいるので、電話などで相談されてはどうでしょうか。分からないなら通院中の病院の主治医に相談しましょう。主治医は皆さまに適切なかかりつけ医をすぐ見つけてくれると思います。

さて冒頭では大きな病院から小さな病院へとお話しましたが、逆に小さな病院から行く、という方法もあります。検診の異常や体の相談をまず小さな病院で行い、状態によってはそれで対応可能な場合もあるのです。そのままかかりつけ医になってもらい、必要時に専門病院に紹介状を持っていく方が、待たされず、すぐに専門医へつなげてもらえる可能性が高くなり、飛び込みで行くよりいいと思われます。

いかがですか。小さな病院にも大きな利点があることは分かっていただけたでしょうか。

最後にひとつ。医療従事者の過重労働については皆さまもご存じだと思います。総合病院の職員は常に救急や入院患者さんの対応に追われ、忙しい状態なので、一般外来に多くの飛び込みの方が来られるとさらに負担になります。皆さまが必要時以外は総合病院を利用しないことは過重労働を緩和し、ひいては地域医療を守ることにもつながるのです。