沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2010年掲載分 > 飲む薬の数が多い?

飲む薬の数が多い?(2010年3月9日掲載)

大屋 祐輔・琉球大学循環器・腎臓・神経内科学

成分まとめた新薬も登場

「なるべく薬を飲みたくない」と思っている方は多いと思います。

特に高血圧、糖尿病、脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていました)などの生活習慣病をお持ちの方は、薬を長く飲む必要があるため、少しでも薬の数が少ないことを希望されます。

患者さん同士の会話でも、薬をいくつ飲んでいるかが話題になると聞いています。例えば、「私は2錠、あなたは3錠飲んでいるので、私の方が健康さ!」という感じです。

薬の数が多いということは、持っている病気の数が多い、または薬の効き目が十分でなかった可能性はありますが、薬にもいろいろありますので、薬の数から病気が重いや軽いという単純な比較はできません。

しかし、このようにして薬の数が多くなると、患者さんが薬をちゃんと服用してくれなくなることが、さまざまな調査で分かっています。

飲み忘れたり、飲み間違ったり、ちょっと間引いたりなど、理由はいろいろあると思われます。

たまに忘れる分はしょうがないにせよ、いつも決まって飲んでいないというのは、体によくありません。高血圧の患者さんで、規則正しく薬を飲んでいなかった人は、そのように飲んだ人に比べて、その後に心臓病や脳卒中になる確率が高かったという調査報告もあります。せっかく処方された薬ですので、正しく服用していただきたいものです。副作用などの疑問がある場合は、主治医の先生や薬剤師の先生に相談してみてください。

ところで、薬の数が多くて気になっている方に朗報があります。

最近、2種類の薬の成分が入って1錠になっている生活習慣病の薬がいくつか処方できるようになりました。たとえば、2種類の血圧の薬が入って1錠になっているもの、高血圧の薬とコレステロールの薬が入って1錠になっているものなどです。患者さんが、飲みやすいように、そして、長く飲み続けられるようにという工夫です。

私たちのアンケートでも、このような薬を使い、飲む薬の数が減ることで、患者さんの満足度が上がる結果が得られています。

患者さんの気持ちとしては、少し病気が軽くなった気分があるかもしれません。でも、本当に生活習慣病を軽くしたい場合は、生活習慣の見直し、つまり、肥満の防止、減塩、定期的な運動、飲み過ぎ防止などが必要であることは言うまでもありません。