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赤ちゃんの便が白い(2010年2月23日掲載)

仲間 司・県立南部医療センター・こども医療センター

胆道閉鎖症は早期手術を

赤ちゃんのウンチが白い原因の一つに黄疸(おうだん)があります。赤ちゃんの黄疸はさまざまな原因で起こりますが、その中でも、急いで手術をしなければならない疾患に胆道閉鎖症があります。

胆道閉鎖症とは肝臓から十二指腸への胆汁の通る管がない先天的な病気です。放置すれば、黄疸が進行し、肝不全に至り死亡する病気です。約1万人に1人の発症ですので、沖縄県で毎年1〜2人のお子さんが発症しています。この病気は生後60日以内に手術が行われれば、黄疸の消失率が高いといわれています。

胆道閉鎖症の症状は便がクリーム色(レモン色、灰白色などと表現されることもあります)になることです。しかし、胆道閉鎖症のお子さんの半数は、生まれてしばらくは普通の便を認め、しばらくしてからクリーム色になることが多く、発見が遅れがちになります。昨年、沖縄県の主な施設に胆道閉鎖症のアンケートを行いましたが、沖縄県では生後30日以内に見つかるお子さんは一人もいなくて、90日以上に見つかる例も全国に比べて多いことが分かりました(図)。

胆道閉鎖は肝臓で作られる胆汁が排泄(はいせつ)されず、体の中に溜(た)まっていくため、患者は皮膚や目の白目の部分がどんどん黄色くなってきます。発見が遅れますと、肝臓が肥大し、肝機能が悪くなります。また血が止まりにくくなったり、貧血になったりもします。

現在日本では胆道閉鎖症で手術を受けられたお子さんの60〜80%は術後に胆汁の排泄が見られますが、その後肝機能は徐々に悪くなり、最終的には全体の3分の2のお子さんが肝移植を受けなければならない状況です。しかし最近NIH(アメリカ国立衛生研究所)の報告では生後45日以内に手術をしたお子さんでは肝移植を受ける率が下がることが報告されました。これを受けて、東京や一部の県では、胆道閉鎖を早期に見つけるスクリーニングを始めています。

スクリーニング検査は生後3週ごろにお子さんの尿を調べることにより、黄疸の有無を早期に発見する検査です。沖縄県でも去年の8月から一部の産婦人科の病院でスクリーニング検査を受けることができるようになりました。すでに第一例のお子さんがスクリーニングで見つかり無事に手術を受けることができました。これからお子さんを出産なさるお母さまたちには、ぜひ胆道閉鎖のスクリーニング検査をお受けになり、一人でも多くのお子さんが早めに胆道閉鎖の手術を受けられるようになってほしいと思います。