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頭痛・めまい・手足のシビレ(2010年2月2日掲載)

石内 勝吾・琉球大学医学部脳神経外科

専門的治療がいる場合も

頭痛、めまい、手足のシビレは外来の診察で、よく聞く訴えです。多くは心配のいらないものですが、中には専門的な治療を要するものもありますので、その違いを説明しましょう。

頭痛の多くは脳病変を伴わないタイプで、大きく三つに分類されています。週末の気分がリラックスしたときにまぶしい光の前兆から始まり拍動性の痛みと嘔吐(おうと)を伴うものは典型的な片頭痛です。前兆がない場合もあります。早めに治療薬を内服すると症状は軽快します。不摂生や多忙、心配事などで不安が募ったときなどに起こる首筋の張りと吐気を伴うタイプは緊張性頭痛の特徴です。喫煙家で夜半に眼周囲に繰り返し起こる流涙を伴う痛みは群発頭痛といいます。いずれも薬物療法や生活改善でよくなります。

脳腫瘍(しゅよう)が原因で起こるものは、起床時に強く吐気を伴います。また症状は進行性で、仕事の効率が落ち、手足の麻痺(まひ)やけいれんなどの発作が起こることがあります。高度の肥満や高血圧の既往がある方で、後頚部(けいぶ)の突然痛みで発症し増悪する場合は解離性脳動脈瘤(りゅう)の可能性があります。くも膜下出血では、初期には軽い頭重感程度でも、ほどなく痛みに耐え切れず意識がぼんやりしてきます。このような場合はいずれも直ちに医療機関を受診してください。

めまいにはぐるぐると回転性のもの、体が浮いた感じ(浮遊感)、動作時に一瞬起こるくらっとするタイプがあります。いずれもその大半は耳性由来で3日ほどで症状は自然と落ち着きます。脳腫瘍や脳梗塞(こうそく)に起因する場合は聴力低下、手足の麻痺や眼球運動制限などの脳の局所症状を伴うことで区別できます。

手足のシビレはいろいろな原因で起こります。血管障害が頻発する脳の視床病変では手と口の周囲にシビレが出現する特徴があります。そしてろれつ障害や手の細かい動きなどの運動麻痺を同時に伴います。シビレが両側性で、はばったい感じがするが運動機能は保たれている場合は糖尿病性末梢(まっしょう)神経障害や頚椎(けいつい)症などの可能性が考えられます。

高性能な診断装置が発達した昨今では症状が無くとも、脳の精密検査で病変が見つかる機会が増えてきました。高血圧症、糖尿病、高脂血症、高度の肥満、過度の飲酒歴、多量の喫煙歴、心筋梗塞や狭心症の既往、がんの既往がある方で先に述べた症状のある方はぜひ一度脳神経外科専門医を受診し、不安の解消や早期治療に努めましょう。

最後に、最新の研究から、若々しい脳を保つための秘訣(ひけつ)を紹介します。適度な運動と興味のあることを一生涯継続することです。