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健康長寿(2009年12月29日掲載)

仲地 廣順・沖縄照甦クリニック

自主管理で病気を予防

厚生労働省が公表した「簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は、女性が86・05歳で長寿世界第1位、男性は79・29歳で世界第4位となっています。一方、全国の100歳以上の高齢者数は、4万人を突破し、9月15日現在過去最高の4万399人(女性3万4952人、男性5447人)となっています。これらの数値について、厚生労働省の分析によれば、わが国の三大死亡原因とされる、「がん・心臓病・脳卒中」の死亡率が下がったことや交通事故の死亡者数が減少したことが大きな要因とされています。

さて、このようなデータを見ると、私たちは誰しも健康長寿の仲間入りを希望するでしょう。しかし、自分の周辺を見渡すと、平均寿命以前に死亡したり、または死亡を免れても身体に障害を残し、日常生活に支障をきたしている友人や知人は少なからず見受けられます。

最近の生命科学の研究によれば、人間の寿命は大体120歳から130歳であろうと説明しています。人間の体は約60兆個の細胞からなり、これらの細胞における何千種類もの化学反応つまり代謝が昼夜を違わず正確に進行することによって生命現象は維持されています。このような精緻(せいち)な細胞の機能に身体内外の要因が作用して異常が蓄積することにより疾病が生ずることになります。24時間自由に吸っている空気と同様に健康は無償で保証されているとの錯覚に陥ると、不幸に見舞われた友人や知人の轍(てつ)をふむことになりかねません。

人間の長寿を脅かす疾病の原因は、大別すると、自分の内部から発生する疾病(がんをはじめとする生活習慣病など)と自分の外部からもたらされる疾病(インフルエンザ・結核など)に分けられます。いずれの疾病においても、未病と呼ばれる超初期の段階では全くと言っていいほど自覚症状を認めません。

100年に一度と言われる国内外の経済不況が続く今日、ともすればつい健康管理に手を抜く傾向は否めません。しかし、私たちはいま一度日ごろの自分の健康管理に目を向け、医療の原則「予防は治療に勝る」を各自が実践することにより冒頭で述べた健康長寿の仲間入りが希望でなく実際に保証されます。

今日では、疾病と健康の間にある「未病」という状態から将来にわたる健康を専門的にカウンセリングする施設もありますし、情報技術(IT)が普及している現在、インターネットでホームページにアクセスすることによりこのような施設や自分の健康管理に必要な情報を容易に入手することができる状況になっています。