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大腸がん検診(2009年12月15日掲載)

渡久地 史明・同仁病院

毎年の便潜血検査お勧め

悪性新生物の中で、近年増加傾向にあるものの一つに大腸がんがあります。これを早期発見・早期治療するにはどうしたらよいでしょうか。

毎年受ける検診として便潜血検査をお勧めします。検出率がやや低い(毎年受けて85%)ですが、大腸カメラに比べると毎年受けても苦になりません。何の検査も受けないよりはるかに有利ですので、すべての人が毎年受けることをお勧めします。

便検査を受け、その結果で二次検診を勧められても受診しない方が時々おられます。せっかく検診を受けてもそれを無駄にしないよう、便潜血検査でひっかかった方は確実に大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。

大腸内視鏡検査は便検査より確実性が高い(95%)良い検査ですが、事前にたくさん飲まなければならない下剤が嫌だという方も多いのではないでしょうか。効果は多少落ちますが、多少飲みやすいマグネシウム下剤もありますので、前回下剤が飲みきれなかった方は受診時相談してみてください。

特に、血縁者に大腸がんが多い方は、やや大腸がんの発生が多いと言われていますので、積極的に大腸カメラによる大腸がん検診を受けられることをお勧めします。

時々、「最近腸の具合が悪いので人間ドックを受ける予定です」という方を見かけます。そのような場合は、検診や人間ドックを待たずに、早めに最寄りの胃腸科(消化器内科や消化器外科)を受診することをお勧めします。健診は、「どこも痛くはないけど念のため一通り調べてもらおう」という目的で行われるもので、「広く浅く」検査が行われます。それに対し、具合が悪い場所が分かっているなら、そこに焦点を絞って精密検査する方がずっときちんとした検査ができます。腸の異常だと思っていたら別の臓器の問題だったという事態にも対応できます。

具体的に腸の病気を疑わせる症状としては、血便(赤い血が混じった便・黒い便)などとともに、「今までなかった症状」というのが大事です。いままでお通じが普通だった人が、先月から急に便秘になった、または下痢になった、その状態が1週間たっても治らない、このような場合は要注意です。そのような場合は医療機関を受診されることをお勧めします。

また、昔からずっと便秘・下痢気味の方も、念のため一度は大腸内視鏡検査を受けてみることをお勧めします。潰瘍(かいよう)性大腸炎など特別な腸炎が見つかり、治療でよくなる方も時々おられます。