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緑内障の原因と治療(2009年11月24日掲載)

酒井 美也子・浦添さかい眼科

近視・遠視と関係あり

「近視」と「遠視」、誰でも知っている目の病気です。でも、その原因を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか? 実は、近視、遠視の原因はほとんどが目の大きさ(目の長さ、眼軸長)の違いによるものです。「近視の人は目が大きく」、逆に「遠視の人は目が小さい」のです。これは見た目の目の大きさとは違います。あくまでも「眼(め)の長さ」なのです。そのため、近視ではピントが目の内側にずれていて、遠視では目の外側(後)にずれています。実は、このありふれた「近視」と「遠視」が、失明の原因にもなる怖い病気「緑内障」の原因のひとつにもなるのです。

「緑内障」は加齢とともに起こりやすくなる病気。年齢とともに病気にかかる人が増えるので、長生きすれば誰でもかかる可能性があります。ところが、近視の人は目が大きい分網膜(カメラのフィルムにあたる部分です)の神経(網膜神経線維層)が薄いのです。そのため近視がある人はない人に比べて「緑内障」、特に「開放隅角緑内障」や「正常眼圧緑内障」にかかりやすいことが分かってきました。

それでは「遠視」の人は安心か、というとそうではありません。緑内障でも急激に眼の圧力(眼圧)が上昇する可能性のある「閉塞(へいそく)隅角緑内障」は遠視の人に多いことが知られています。眼の中には房水という水が循環していますが、遠視の人は眼球が小さい分、この房水の通り道(隅角)が狭いのです。特に50歳以上になると目のなかのレンズ(水晶体)の厚みが増すため隅角はさらに狭くなり、閉じてしまうことがあります。その結果として眼圧が上昇しやすくなるのです。「若いころは目が良かった」「老眼だけど目は大丈夫」などと目に自信がある人にも突然起こることがあるので要注意です。

このように「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」、名前は同じ「緑内障」でもかかりやすい人も違いますが、治療も全く異なります。「開放隅角緑内障」は点眼薬による眼圧下降治療が優先されますが、「閉塞隅角緑内障」の場合には手術またはレーザー治療を行うことが必要です。40歳以上の20人に1人は緑内障にかかっていると考えられています。緑内障は視野が少しずつ狭くなってくる病気ですが、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。緑内障で障害された視機能を取り戻すことはできません。早期発見、早期治療が大切です。40歳を過ぎたら眼科で緑内障の検診を受けましょう。