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新型インフルの予防(2009年9月1日掲載)

仲本 敦・国立病院機構沖縄病院

咳エチケットの徹底を

沖縄県内でも小中学生、高校生を中心に新型インフルエンザの感染者が増えています。

今流行している新型インフルエンザは、現時点では症状が重症になる率は通常のインフルエンザとそれほど変わらない事が分かっています。ただし慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、糖尿病、腎機能障害、ステロイド内服などによる免疫機能不全などの持病がある方々、妊婦、5歳以下の幼児、65歳以上の高齢の方々では重症化する可能性があり注意が必要です。新型インフルエンザであっても通常のインフルエンザであっても、周りの人への感染予防がとても重要なのです。

インフルエンザが人から人に感染するのには二通りの感染の仕方があります。一つは感染した人が咳(せき)やくしゃみをする際に口や鼻から吹き出す目に見えないしぶきを直接吸い込むことにより起こる飛沫(ひまつ)感染、もう一つは咳やくしゃみの際に口を手で覆ったり鼻をかんだりした後に、ウイルスのたくさん付着した手でドアノブなどに触れ、その触れた場所に付いたウイルスを別の人が触れ、その手で目や鼻、口に触れることで感染する接触感染です。

飛沫感染、接触感染を予防する有効な方法が、咳エチケットです。具体的には咳やくしゃみがあるときは、なるべく2メートル以上周囲の人から離れる。マスクを着用してしぶきが飛ぶのを防ぐ、直接しぶきがかからないように顔を横に向けることが大事です。

マスクをしていないときに、咳やくしゃみが出そうなら、直接手で覆うのではなく、ティッシュで口と鼻を覆います。ティッシュなどがない場合は手ではなく、腕の袖の部分で口と鼻を覆うようにすると良いでしょう。腕の部分は手と違いほかの部分に触れることが少ないからです。

使用したティッシュはすぐにゴミ箱や専用のビニール袋などに捨てるようにしましょう。熱や咳が出始めて医療機関を受診する際などにもマスクの着用に加え、ティッシュと小さいビニール袋を一緒に携帯しておく必要があります。咳やくしゃみをする際に抑えた、手や腕はすぐに洗うべきですが、接触感染の原因とならないよう、手を洗う前に不必要に周囲に触れないよう注意が必要です。手を洗った後に使用するタオルは個人で専用にします。

咳エチケットは頭では分かっていても、急に咳が出そうなときにサッと実行できなければ意味がありません。そのためには普段から咳エチケットについてお子さまと話をすることがとても大切です。